第11章 お仕事
ガチャー
厨房に続いているドアを開け、仕込みを始める。
すると、カランコロンと店のドアが開いた。
ー黄瀬だ。
黄瀬は大学を卒業した後、俺の店で働いてくれてる。
色々器用だし、何より客受けがいい。
こちらとしては、有難い人材だった。
「はよーッス。今日も早いッスね、火神っち。」
「いや、俺も今来たとこだよ。」
「なら良かったッス。」
二人で話しながら仕込みを続けていると、もう一度店の鐘が鳴った。
「ごめん、ごめん。遅くなっちゃった。」
広瀬芽美。
一花の高校からの友人で今はこの店で働いてくれてる。
付き合い始めは物凄く反対されたが、今となっては俺たちの事を一番に心配してくれてる。
個人的に俺は、黄瀬といつくっつくのか楽しみにしている。
このカフェは黄瀬と広瀬の他に、毎日ではないが青峰や高尾、タツヤが手伝いに来てくれる。
おかげでなんとか上手くやっていけてる。
仕込みも終わり、そろそろ開店時間だ。
「そろそろ開店すっか。」
「はいッス、店長!」
「今日もよろしくお願いします。」
ーカフェ"cymbidium"開店だ。