第8章 お風呂
俺には無い膨らみや曲線。
…反応しないはずが無かった。
俺はそれを必死に隠すように、一花を支える。
一花は淡々と作業を進めていく。
背中を洗う時になって、一花は俺を呼んだ。
『大我、背中頼んでもいい?』
「お、おう。」
一花の前に回り、手にボディソープを付け抱き締めるようにして背中を洗い出す。
お互いの身体が触れ合い、呼吸が伝わる。
一花から伝わる鼓動は思ったよりも速かった。
『大我の心臓、ドキドキいってる。』
「お前もな。」
『当たり前だよ。』
…緊張してたのか、こいつも。
何も意識していないように見えていたが、鼓動は嘘をつかなかった。
すると、今まで淡々と振る舞っていた一花が途端に愛しく思えた。
だが、そんな事を思っていれたのも一瞬。
俺の胸板に当たる柔らかい感触に、俺のは確実に大きくなっていた。
…海パン履いててよかった。
何とか一花の背中を洗い終え、背中に着いた泡を流す。
「…終わったぞ。」
『ありがとう。』
…次は下半身を洗う番だ。
一花の身体をシャワーチェアに優しく寝かせる。
「…。いいか?」
『うん…。お願いします。』
手いっぱいに泡を付け、足に伸ばす。
太腿から、ふくらはぎを通り、足の裏や指の間まで丁寧に洗う。
『ごめんね、大我…。』
小さく呟く一花。その声色に俺の胸が締め付けられた。