第8章 お風呂
脱衣所に着き、服を脱ぎ始め…たいところだが正直どうしたらいいのか分からない。
無言であたふたしている俺に対し、一花は冷静で俺に自分が先に脱ぐから後ろを向いてて欲しいと言った。
「分かった。けど、一人で大丈夫か?」
『うん、大丈夫。脱ぎ方は病院で練習したから。』
その言葉を聞き少し安心しながら後ろを向く。
少しすると布が擦れる音がした。
その音に柄にもなく緊張する。決して下心があるわけじゃない。
でも、どうしても意識してしまう。
一人で悶々としていると、一花に声を掛けられた。
『終わったよ。大我も脱いでくれる?』
「…おう。」
俺も服を脱ぎ始める。
そして、一花を怖がらせないように海パンを履く。
これでちょっとはマシだろう、色々と…。
「…終わったぞ。そっち、向いていいか?」
『…あんまり見ないでね?』
振り向くとそこには言葉通り、裸の一花が車椅子に座っていた。
その裸体があまりにも綺麗でしばらく見とれていると、胸を両手で隠された。
『もう!見ないでって言ったでしょ!』
「す、すまねぇ。あんまり綺麗だったから。」
『…う、うるさい。早くタオルちょうだい!』
「あ、あぁ。はい、これ。」
『ありがとう。』
一花が自分の身体にタオルを巻き終わったところで、俺は一花に声をかける。
「よし、じゃあ行くぞ?」
『うん、…お願いします。』
「ほら、首に捕まって。」
『し、失礼します。』
俺は一花の前にしゃがみ込み、一花が捕まったのを確認してから抱き上げた。
風呂場に入り、シャワーチェアに座らせる。
背もたれが無いので、俺が支えてやる。
シャワーを出し、お湯が出始めたら一花に渡す。
一花は遠征用のシャンプーで髪を洗い、ヘアゴムで髪をまとめた。
男用のは使わせられねぇからな。
次は身体を洗う番。
俺にあんまり見ないでと忠告をした後タオルを外し、お湯をかけ始める。