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Platonic【火神大我】

第7章 二人暮らし




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「ほい。ここが俺ん家。」

『おっきい…。』


三浦はポカンと口を開けたまま固まっている。

その顔が可笑しくて、可愛くて俺は吹き出した。


「ははっ!」


すると三浦は少しムキになり

『ちょっと…!何がおかしいの!?』

「くくっ…。いやっ、あまりにもアホヅラだったからよ。」

『だって、こんなに大きなお家って聞いてないよ!』

「元々、親父と住む予定だったんだ。」

『へぇー…。すごいね…。』

「そうか?」

『うん。』

「まぁ、とりあえず飯にするか。」

『ああ!私作るよ!』

そう言って、三浦は勢いよく車椅子から立った。


ドンッ。


…いや、立とうとした。

だが、すぐにその場に手をついて転んだ。


「おい!大丈夫か!?」

すぐに脇の下に腕を入れ、抱き上げるように車椅子に座らせた。

『ごめん…、前の感覚が抜けなくて。』


『これじゃ、作れそうにないや…。』


三浦は酷く傷ついた顔をした。

俺がこんな風にしたのかと思うと、底知れぬ罪悪感に襲われた。


「三浦…、全部俺のせいだ。ごめん。」

『そうじゃないよ…!』


突然、両の頬を包まれ俺の顔は三浦の方に向けられた。

『火神君のせいなんかじゃない…!これからはどんな事があってもそんな事言わないで!!』


先程の顔とは打って変わって、俺の好きな瞳でこちらを見てきた。

その瞳には涙がうっすらと浮かんでいる。

『私だって、こんな身体になったのは物凄く悔しい。今だって何で私が、って思う時もある…。でもそれは決して火神くんのせいじゃない。』


不思議だ。
こいつの言葉は俺に不思議な温かさをくれる。




俺が今、三浦のためにできる事…。



「とりあえず、美味い飯作るわ。待ってろ。」



これで合っているのかは分からない。

でも、今の俺にはこれくらいしか思いつかなかった。





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