第6章 告白
一花side
火神が出ていってからしばらく沈黙が続いた。
『黒子君。話って…?』
「率直に聞きます。火神君のこと、どう思いますか?」
『どうって…?』
「火神君のこと、好きですか?」
『…!!』
あまり気にした事がなかった。火神君の事は好きか嫌いかで言えば、もちろん好きだ。
だけど、それが恋愛的な意味かは分からなかった。
『好きだよ。…ただ恋愛的な意味かは正直分からない。』
「そうですか…。じゃあ、こう考えてみてください。三浦さんが辛い時、一緒にいたいと思うのは誰ですか?その人が笑っていると、自分も自然に笑顔になれる人は誰ですか?…自分の命を犠牲にしてでも守りたい人は誰ですか?」
『…。』
私の中には一人の人が浮かんでいた。
背が大きくて、勉強が苦手で、不器用で…。
だけど、誰よりも優しくて、誠実な人。
『黒子君…。私分かった気がするよ。』
「…そうですか。それは良かったです。」
『だけど…!その人は私みたいなのに好かれたら嫌がるかな…?』
「彼がそんな人かどうかは、三浦さんが一番よく知っていると思います。」
なんか、黒子君には敵わないな…。
『そうだね。…ありがとう、黒子君。私、逃げてたのかもしれない、この気持ちから。』
「いいえ、僕は何もしていません。それに、逃げる必要なんてありません。三浦さんは自分の気持ちとその相手を信じていればいいだけです。」
黒子君の言葉が胸にスッと染み込んでいくようだった。
私みたいなやつでも、彼を、火神君を好きでいてもいいのかな。
「それじゃあ、僕は行きます。また、学校で待っていますね。」
『うん、ありがとう。』
「あっ。あと一つ聞きたいことがあります。…もしも、火神君がバスケをやめると言ったらどうしますか?」
『全力で止める。私、隣の席になってからずっと思ってたの。あぁ、この人ほんとにバスケが好きなんだなって。だからこそ私は、火神君を助けたの。この人からバスケットを取らないでって…。』
「そうですか…。それが聞けて安心しました。それでは火神君を呼んできますね?お二人でゆっくり話してください。それじゃあ。」
『ありがとう、黒子君。』
黒子君は静かに病室から出ていった。