第5章 過去
あれから1カ月経っても目を覚まさない三浦。
そんな三浦を見て、俺もある大きな決断をしようとしていた。
「なぁ、黒子。」
「どうしたんですか?火神君。」
「もし…、もし俺がバスケ辞めるって言ったらどうする?」
「…それは何故ですか?」
俺の目をじっと見つめてくる黒子。
「何となくだよ!…で、どーなんだよ?」
全てを見透かすようなこいつの目。
正直、苦手だ。
「本当に火神君が辞めたいと言うなら止めません。…ただ、誰かの為に辞めると言うなら話は別です。」
「どうゆう事だよ。」
「火神君がバスケを辞めたところで、三浦さんは目を覚ましませんよ。」
まさか、黒子に言われるなんて思ってもなかった。
「…分かってるよ!!でも、俺があの時ぼーっとしてなかったら三浦は傷つく事はなかった!あいつはもう歩けないんだぞ…?誰があいつを助けてやるんだよ?俺があいつを傷つけたから…!」
ーーパチン
黒子は俺の頬に軽くビンタした。
「火神君。それは三浦さんのことを思ってのことでは無く、ただの自己満足です。」
「なんだと…!」
「もう一度よく考えて下さい。バスケを辞めなくても、三浦さんを助ける事は出来るはずです。」
「だけど…!」
「とにかく今火神君がすべき事は、笑顔で三浦さんを見守ってあげる事です。これは、火神君にしか出来ない事です。」
「そうかもしれない。…けど、それじゃあ俺の気が収まらねー。」
「まぁ、今後の事は三浦さんが目を覚ましてから、二人で話し合ったらどうですか?」
「…そうだな。さんきゅー、黒子。」
「いいえ、僕は何もしていませんよ。三浦さん、早く目覚めるといいですね。」
「おう。…見舞い行ってくるわ。」
「はい、いってらっしゃい。」
黒子に相談してよかったぜ。危うくダメな方に行くところだった。
今日こそ起きないか。
その日も俺は一花の見舞いに行った。