第5章 過去
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あれから2週間経っても三浦は目を覚まさなかった。
俺は一抹の不安を抱えたまま、インターハイに臨んだ。
だが、最後のインターハイということで割と集中して戦うことができた。
誠凛は順調に勝ち進み、全国3位という結果に終わった。
三浦にもいい報告ができそうだ。
三浦が事故に遭った日から俺は、インターハイの日以外は毎日三浦に会いに行っていた。
今日こそ目を覚まさないか、そんな期待を胸に病室のドアを開ける。
そこには綺麗な顔で眠っている三浦がいた。
俺は三浦の頬を優しく叩く。
「三浦。早く目ぇ覚ませよ。クラスの奴らも心配してるぞ?」
いくら声をかけても三浦は目を覚まさない。
「俺、お前がいないと勉強も分かんねーし色々とダメなんだよ。…早く起きてくれよ。」
俺の願いも虚しく、三浦の目は閉ざされたままだった。
その日はそれで切り上げ、また明日来ることにした。
気づけば、この時から俺は一花に特別な思いを抱いていたのかもしれない。