第5章 過去
病気に着くと、三浦が手術室に運ばれた。
手術中のランプが三浦の命の危険を知らせているようだった。
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あれから、地獄のような時間が続いた。
俺には、ただ三浦が助かる事を祈るしかなかった。
どれぐらいの時間が経っただろうか。
手術室の扉が開き、中から三浦がでてきた。
「先生!三浦は…?」
「君は兄妹か何かかい?」
「いや、ちげぇ…です。」
「彼女のご家族について何か知ってる?」
そういえば、あいつは家の事について何かと話したがらなかった。
「いや、何も…。」
「そうか…。」
「どうかしたんすか…?」
「いや、どうやら彼女一人暮らしのようでね。ご家族の連絡先が分からないんだよ。」
「そうすか…。で、どうなんすか。三浦は?」
「一応、手術は成功した。…ただ、しばらく目を覚まさない可能性が高い。そして脊髄を大きく損傷しているため、恐らく"二度と歩くことは出来ない。"」
ーー二度と歩くことはできない。
その言葉が永遠と俺の中でループした。
さっき、三浦は一人暮らしだと言っていた。
なら、あいつはこれからどうやって生きていく?
あの年齢で足も動かない状態で、一人で生きていくなんて無理だ。
どうする。
三浦は俺を庇って下半身の自由を奪われた。
それなら…、俺が責任を取るしかない。
こうして俺は、一花と生きていく決心をした。