第20章 温泉旅行
それにしても旅館の名前からは反して中の造りは意外と洋風なものだった。
「火神、この旅館の第一印象を聞かせてもらってもいいかな?」
「あぁ、なんか、こう、和風だけど洋風って感じだな。」
上手く言葉にはできなかったけど、赤司には伝わったみたいだ。
「ふふっ、そうか。それなら狙い通りだね。」
「…どういう事だ?」
「この旅館はね、大正ロマンを感じてもらえるように和洋折衷な造りにしてあるんだ。だから火神の言う和風だけど洋風な感じは非常に的を得た意見というわけだ。」
和洋せっ、なんとかの意味はあんまり分かんねぇけど、俺の言ってた事は間違いではなかったらしい。
俺と赤司は旅館のことについて、一花と緑間はお互いの近況について話していると後ろから青峰と黄瀬がやってきた。
「久しぶりっスね!赤司っち、緑間っち!」
「よぉ、まだこんだけしか集まってなかったのかよ。」
なんかこの二人のセットは見慣れた感じがあるな。
いつも店手伝ってもらってるからな。
着いて早々に黄瀬は緑間に絡み始める。
その間に俺も一花のそばへと駆け寄った。
「一花。」
『どうしたの?』
「いや、別に何も無ぇけど。近くに居たかっただけだ。」
『ふふっ、私も。』
そう言って笑顔で微笑む一花。
本当に可愛い。
俺は思わず赤司達がいるのも忘れて一花にキスをした。
すると、誰かから蹴りを入れられた。
「痛ってぇー!!青峰、お前何すんだよ!」
「ふざけんじゃねぇぞ、火神。何自分だけイチャコラしてんだよ。」
『だ、大丈夫?』
心配してくれたのは一花だけで、緑間は青峰と同じく少し不機嫌な顔をして、赤司と黄瀬は呆れたように笑っていた。