第20章 温泉旅行
表の看板には"嵐山 大正邸"と書いてある。
めちゃめちゃ日本ぽいな。
『渋い名前だねー…。』
「ほんとだな。」
木製の建物は新しく建ったというだけあり、とても綺麗だった。
『なんだか緊張するね。』
「赤司達に会うのも久しぶりだからな。」
ちょっと固くなってる一花を押しながら旅館の中に入れば、暖色の照明が光るシャンデリアが豪華なロビーが迎え入れてくれた。
『わー…、すごい…。』
「ほんとだな…。」
少し進んでいけば、緑色と赤色の髪をした人物がそこで待っていた。
「よぉ、久しぶりだな。」
『久しぶり。』
一花と揃って挨拶すると、二人が一緒に振り返る。
…懐かしいな。以前会った時よりも男らしい顔付きで、時の流れを感じた。
「久しぶりだね。火神、一花。」
「あぁ、元気にしていたか、一花?」
…俺には無ぇのかよ!ったく、緑間の奴は相変わらず失礼だな。
でも、再会の喜びからなのか今日はわざわざ突っ込む気にはならなかった。
緑間は一花が可愛くて仕方ないらしく、ずっと一花に構っている。
まぁ、高校の時からこんなもんだったけどな。
でも、好きな女が他の男ばっか見てるといい気持ちにはならない。
それが無意識に顔に出てたのか赤司にクスッと笑われる。
「…なんだよ。」
「いや、火神は分かりやすいなと思ってね。」
「うっせーよ。」
でも一花も嬉しそうな顔してるから、旅行の期間だけは目を瞑る事にした。