第20章 温泉旅行
温泉旅行、当日。
俺たちは車で京都の嵐山に来ていた。
随分と長旅だったので一花は助手席ですっかり寝ちまった。
青峰達とは11時に旅館での現地集合だったので、あともう少しだ。
「一花、もうすぐ着くぞ。」
『んー…。大我ー…?』
「そうだ、俺だ。もうすぐだから起きといた方がいいぞ。」
『…分かったー。』
まだ眠い目を擦りながら、目を覚ます一花。
だが、窓から見える景色にすぐに覚醒したみたいだ。
綺麗、としきりに声を漏らし窓に手を付いている。
まるで無邪気な子供みたいだ。
ひとしきり景色を堪能した後はどうやら服装が気になるようで、俺に何回もおかしくないかと聞いてきた。
『ほんとにおかしくない?』
「おかしくない。すげぇ可愛いから安心しろ。」
素直にそう言うと照れたように顔を赤らめ、押し黙る一花。
分かりやす過ぎだろ笑
「ここだな。」
目的地の旅館に着き、駐車場へと向かう。
他のメンバーは公共の交通機関で来たのか、車は俺たちの一台だけだった。
後ろの荷台から車椅子を出しセットする。
一花を助手席から降ろし、車椅子に座らせる。
ここの旅館はバリアフリーに対応してるらしいから俺達からすればとてもありがたい。
外はまだ肌寒いので一花の膝にブランケットをかけてやる
『ありがとう、大我。』
「どういたしまして。」
そのまま旅館の入口へと向かう。