第19章 翌朝
あれから仕事をして過ごしていると、あっという間にカフェは閉店の時間だった。
赤司君の旅館の事を大我に早く言いたくて、急いで玄関に向かう。
しばらく待っていると玄関のドアがゆっくりと開いた。
そこから愛しい人が顔を出す。
「ただいま。」
『おかえり、大我!』
早く抱き締めて欲しくて彼に向かって手を伸ばす。
すると、ふわりと笑って私の体をきつく抱き締めてくれる大我。
いつもの彼の香りになんだか嬉しくなった。
大我が顔を私の首に擦り付ける。
その度に彼の髪の毛が当たり少しくすぐったかった。
「…あー、疲れた。」
『お疲れ様。早くリビング行こ?』
「あぁ。…今日は随分とご機嫌だな。」
『まぁね!大我にも教えたい事があるから。』
「そうか、楽しみだな。」
『うん!楽しみにしてて!』
クスクスと笑いながら私の車椅子を押してくれる。
旅館の事言ったら大我はどんな反応するのかな。
「何笑ってんだ、一花?」
『なんでもないよー?』
楽しみでつい笑いが溢れてしまった。