第19章 翌朝
大我を見送ってから朝ごはんの続きを食べる。
一人で食べる朝ごはんはいつもなら少し寂しいけど、今はまだ大我と繋がっている気がするからそんなに寂しくはない。
…いや、やっぱり寂しいものは寂しいかな。
目玉焼きを突きながら昨日の事を思い出す。
大我の優しい目、優しい仕草。
その全てが私を幸せにしてくれた。
自然と上がってくる口角を必死に抑えていると、携帯から軽快な機械音が鳴る。
…赤司君からだ。
『もしもし?』
「もしもし、朝早くにすまないね。」
『全然大丈夫だよ。それでどうしたの?』
赤司君と連絡を取り合う事は多い。
でも大体はメールでのやり取りが多い。
赤司君の高めの声に少し緊張する。
「来週の月曜日と火曜日、空いてるか?」
『…多分空いてると思うけど、どうして?』
何か深刻な問題でも起きたのかと少し不安を覚える。
「実は、僕が経営する旅館が新しくオープンすることになってね。二人には是非一番初めのお客様になってもらいたいと思ってるんだ。」
『へー!凄いね、赤司君!大我にも聞いてみなくちゃ分からないけど、私は行きたいな!』
「ふふっ、ありがとう。一花に連絡して正解だったよ。」
『えへっ、どういたしまして。…それで、他には誰か来るの?』
私達だけで行くっていうのもいいけど、折角なんだし大勢でワイワイしたいからね。
「あぁ、その予定だ。今のところ緑間、紫原、青峰、桃井、黄瀬、そして黒子を呼ぶつもりだ。」
『そっか!なんだかお馴染みのメンバーだね笑』
「そうだな。まぁ、一種の同窓会と言ったところか。」
赤司君の声を心なしかいつもより弾んでいる。
『ふふっ、すっごく楽しみ。誘ってくれてありがとう、赤司君。』
「礼には及ばない。悪いが、返事は早めに頼むよ。」
『分かった。…赤司君も嬉しそうだね。声が活き活きしてる。』
「…一花には敵わないな。」
『赤司君は意外と分かりやすいからね。』
「ハハッ、そんな事を言われたのは初めてだ。…じゃあ、良い返事を待っているよ。火神によろしく。」
『はーい。また連絡します。体には気を付けてね。』
「ありがとう。それじゃあ。」
『ばいばーい。』
一種の同窓会か…。
なんだか面白そう。
大我、早く帰ってこないかな…。