第11章 〜喫茶ポアロに、事件の残り香〜
「もちろん苦いですけど慣れました。眠気覚ましに飲んでるうちに、癖になっちゃいましてね…」
本当に困った様子で笑いつつ、麻衣は苦笑いで驚く蘭達に答えた。コーヒーは毎日飲んでいるが、別に好きでも嫌いでもない。単純に習慣化されて飲んでいた。そんな淡白だけど有りがちな理由は、まるで働く大人のような台詞だ
「へぇ〜!僕も大人になったら飲めるようになるかな?!」
「なんかコーヒー飲めるってカッコいいわよね!私も絶対そうなりたい!」
「私も!カフェオレだけしか飲めないからさ!」
「……そうですか?そこは個人の好みによりますね。何も大人だからと飲めるわけでなし。カフェオレが丁度良い人もいれば、子供の時から好む者も、ずっと苦手とする者もいます」
「そうだね。麻衣お姉さんも、たしか未成年って前に聞いたし…」
「「え?!!」」
麻衣の言葉を聞くと、羨ましげに将来の理想を描く女子高生達。麻衣はそれに首を傾げながら、あくまでも個人差があると説いた。コナンもその意見には頷き、麻衣の年齢を例に出すと、彼女達は目を見開いてバッと同時に麻衣を見た。信じられないと言いたげな視線は、蘭達が麻衣を二十歳以上と見誤っていたと察せられた
「こう見えて私は、大人と勘違いされやすいんですけど未成年なんです。実年齢は十七歳で、多分毛利さん達と近い歳ですよね?」
「近いっていうか、まさかの同い年だし…」
「てっきり、二十代前半だと思ってた…」
特に気していないようで、微笑んだ麻衣が実年齢を明かすと、唖然とした表情で園子と蘭がポツリと呟いた。その隣では、世良も言葉を失っている。如何やら、それほど衝撃的な事実だったらしい。するとそこへ、麻衣達が注文した飲み物を盆に乗せた安室が席にやって来た
「どうぞ、飲み物を持ってきました。……それで皆さん、一体何のお話をしてたんです?かなり驚いていたようですけど」
「うん。麻衣さんって話し方とか、雰囲気とかも大人っぽいでしょ?だから年齢が同い年って聞いて、蘭姉ちゃん達が驚いちゃったんだよ」
「ああ、そういう事か…。なるほどね、確かに僕も初めて聞いた時は驚きましたよ」
そうして尋ねるとコナンから説明が入り、それに納得したのか大いに頷いた安室