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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第11章 〜喫茶ポアロに、事件の残り香〜



「(なっ?!!)」


陰での事情を聞いた途端、コナンは両目を溢れんばかりに見開いて驚いた。同時に声まで上げそうになったが、それは咄嗟に喉の奥で押し留めることができた。そうなるというのも、蘭達がレストランに行ったのは、コナン達が榊家へ訪れる前日のこと。当時は小五郎とともに事務所にいたので、警察から電話で蘭がレストランの事件に巻き込まれたと聞いた時は心配になったものだ。つまり、彼女達が遭遇したのは、不幸にも事件現場だった。コナンがそれに同情を抱いていると、蘭達の背後で再びドアベルが鳴って待ち人達の来店を知らせた


「やっほぉ、お待たせ蘭〜!」

「今日はコナンくんも参加なんだな!」

「あ、世良ちゃんに園子!私達も今来たところだったの!」


快活な笑顔で挨拶を交わす三人。すると早速、蘭が「それよりあそこ!」と興奮冷めらぬ様子で麻衣達の席に視線をやった。「あ!」その瞬間に、園子と世良の嬉しげな声が上がった。さながら、目の前のアイドルに歓喜している女子を見る様な光景だ


「へぇ〜あの人来てくれたんだ!」

「よかったな蘭くん!梓さん!」

「(おいおい…)」


そして傍で嬉々として盛り上がる女子達とは裏腹に、気分転換どころか今やコナンの気分は憂鬱でしかない。思わず引きつった笑みで蘭達を見ていたコナンは、まるで誤魔化す様に店内を見渡し始め、すぐに麻衣達を見て固まる。コナンと彼女の目と目が合った。すると麻衣が毒気のない微笑を浮かべたと思えば、コナン達に対して愛想良く頭を下げたのだ。無論蘭達もきちんと礼を返し、その隣で彼は戸惑っていた


「……え?」


自分を謀で欺こうとしていた相手に、いくら温厚な性格であっても何事もなかった様な態度を取れるなんて、と。それに清光達を始め、大勢いるとされる護衛達は絶対警戒しているはずだが、誰も主人に注意していないのだろうか。否、そんなわけがない

麻衣は間違いなく、コナン達の陰謀に気づいて清光達を牽制していたのだ。加えて清光の言葉を思い出した


『我が身を可愛いく思うんだったら、この先邪な感情で近づかない方が良い』


この言葉の言外の意味を理解したコナンは、俄かに信じがたい答えに辿りつく


「(……これってつまり、妙な勘ぐりだとか機嫌を損ねなければ、普通に接してくれるってことか?)」
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