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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第10章 〜九十九を祀る社の巫女〜





雲一つない快晴となった事件の翌日。麻衣は自身の管理する九十九神社の境内に来ていた。巫女の正装である緋袴を着ており、手には竹箒と足元には塵取りまである。掃除の時間だ。しかし、側に控える刀剣男士の顔がそれを嫌がってるにしては酷く険しい。それでも麻衣は意に介さずと普段通りだった


「…せめて、参拝者のないこの時間は護衛も不要と思うのですが」


この一言に、お付きの刀剣男士───加州清光は酷く渋った。麻衣は巫女を名乗ってこそいるが、国家に尽くす身として【審神者】の任も務めている。何方も神仏と人間の間を取り持つ役目を担う職だ。つまり、霊的な存在に最も関わる人間なのである。巫女としての専門的な御祓といった仕事も、審神者としての国家に仇なす【歴史修正主義者】───もとい【時間遡行軍】という、穢れた化け物との歴史を超えた戦いもそう。彼女を狙う曲者は只人だけじゃなかった

なのに彼らの主人、審神者名と巫女の号を『涼』と名付けられた麻衣は護衛が不要と言う。いくら敷地の中と言えど油断は禁物なのだ。持ち主の敵を斬って殺し、それと同時に持ち主を守り続けるのが刀剣。それも付喪神化したモノなら、そういった使命感や意志と行動力も一入。案の定、麻衣は清光にはっきり言い切られる


「だーめ。主ったら仕事以外でも初対面の人間に話しかけられて、縁作っちゃうんだからさ…。見てよコレ!」


コレ、と言って清光が麻衣の顔の隣の空間を掴む。赤黒い異常な太さの糸が二本。灰色の強度が高い極太の糸が一つ。彼女に結ばれているそれは、彼女に近づくにつれて細く儚く消えかける状態。他にも綺麗な色で、細くしっかりとした糸が三本。最初の二本ぐらい太くて色とりどりの糸が数十本はあった。全て同じ大きさを保って、彼女と繋がっているままだ。怒る清光が指すのは縁の糸である


「他の奴との縁は別にいいけど何?!この如何にもヤバげな色した三本!主が眼中にも入れてないおかげで、無視してるから一方的なものですんでるけどさ。面識あるかも分かんない奴に執着されてんじゃんか!!」

「ですが、門を開けるまで中に誰も侵入できませんよ?」

「いいや、ですがもかかしもありません!絶対、敷地内でも護衛はつけるよ!」

「…そこまで言うのならば」


仕方ない、と彼女は苦く笑っていた
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