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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第7章 〜闇夜の邂逅に白き魔術師、驚き好きの鶴も添えて〜 後編



「(───嬉しいような、最悪なような、少し曖昧な感じだぜ……)」


ハハ、と鶴丸が苦笑いを漏らした。その声は小石を踏み荒す足音に、簡単に掻き消されて消えていった。何と相反したままならぬ思いだろう。しかし、閑話休題───

それはともかくだ。たとえこのまま走り続けたとて、鶴丸が求める驚きはない。何か。何かあるはずなのだ。自分をアッと驚かせてくれる、新時代の『どっきり』が。別に今でも退屈しない日々だが、一層の彩りを見せる初物が欲しい。そうして、すっかり気分を切り替えた鶴丸が、満面の笑顔でキッドに言い寄った


「さぁ、もっと楽しませてくれ…!この俺に、新時代の、驚きをくれ!!」

「いや、新時代の驚きって何だよそれ?!ってか俺を趣味に巻き込むな…!」


鶴丸の飢えたような台詞に、キッドの渾身のツッコミが炸裂する。爛々としている金色の瞳は純粋で貪欲に驚きを求めていた。その様は、ポーカーフェイスが売りのキッドでさえ、思わず紳士の面を外すほど。するとまるで子供の膨れっ面みたいに、鶴丸が拗ねた様子で剝くれた。大人でも美形がやれば、只々可愛く見えてしまう


「ぶ〜ぶ〜!そうやって出し惜しみする気かい?ただ走って逃げるだけじゃ、この俺を撒くのは無理だぜ?」

「……誰がこのまま走り続けると言いましたか?」


キッドが意味深な台詞を放った。ニヤリと挑発的な笑みで鶴丸を見返り、突如、キッドが闇に紛れた岩を右折する。「おっ?」それには鶴丸も目を瞬かせて、キョトンと不思議そうな顔をした。この、何かが確実にあるような行動は、一体どんな事を秘めるのか。鶴丸はそんな謎に好奇心が湧いて、キッドに続くまま右折する

すると───、

彼が岩陰を曲がった暫く先に、彼曰く『驚き』が待っていた


「おおっおおぉ〜!何だいそれは?!外套が紙飛行機の羽根みたいになって、風車の様な絡繰まで付いてる!素晴らしすぎる!」


そう言って思わず、驚きのあまり鶴丸は大声で喜んだ。彼が興奮しきって、キラキラとその瞳を感動と好奇心で輝かせる。この純粋な子供じみた反応に、キッドは自慢げな笑みを浮かべた


「これは私が移動手段で使う、プロペラ付きのハンググライダーですよ。私を捕まえたい者達からは、忌々しげに見られるばかり。貴方の様に目を輝かせる方は初めて見ました」
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