第29章 〜奇々怪々〜
正直過酷な記憶なので話題を変えようと当初の目的の為、眼前の我関せずな安室に遠慮気味の声をかける
「あ、安室の兄ちゃん!ちょっと良い?」
「うん?」
「光忠さん達にも聞きたいんだ。都内のお化け屋敷が、ホラースポットになってるのって知ってる?」
「ああ、昔にニュース沙汰があったからね」
「僕らも知ってるけれど、それが何だい?」
「……」
声を掛けると安室は、洗い場で食器や調理器具を洗いながらコナンの話を聞いて、両者ともある事を知っているらしかった。大倶利伽羅はやはり無言に徹している
「実は噂が気になってそこの事を調べてたら、責任者さんが前にポアロで安室さんへ依頼に来てた人と一緒だって知ったんだ。もしかしたら怪奇現象に悩んでたのかなあと思って」
「……確かに依頼人はそこの責任者だけどね。内容については黙秘させてもらうよ。まぁ、個人的にはホラースポットかどうかの信憑性は知りたいけどね」
やはり守秘義務もあって教えてくれなかった。ただし安室も心霊疑惑は気になるらしく苦笑いを浮かべていた。その時、チリンチリンッとドアが開いてベルが鳴り、新たな客人がやってきた。安室が「いらっしゃいませ」と歓迎したのはコナンより身長が高めの少年で、鮮やかな長い青髪をポニーテールに結って活発そうな印象の金眼をしていた。この少年は太鼓鐘貞宗、先の二振と共に戦国時代を伊達家で過ごした仲だ
「あっ!待ってたよ貞ちゃん!」
「おっす!待たせたぜ、みっちゃんと伽羅!」
「もしや、待ち合わせていたお連れさんですか?」
「うん」
へへへっと嬉しそうに光忠達の元に駆け寄るその少年は、光忠達と仲良く話ながら大倶利伽羅に、此処だと指定されたコナンとの間の席に落ち着いた。彼は何とも元気で明るく安室とコナンに自分から自己紹介をした
「あんたらが主の知り合いだな!俺は太鼓鐘貞宗ってんだ!」
「初めまして安室透です」
「僕は江戸川コナン、よろしく」
「おう!」
陽気な笑顔のこの少年は早速、安室にハムサンドとカフェオレを注文し、コナンは再び話題をお化け屋敷の怪談に戻した。安室は素早く材料と器具を揃え、話に参加しつつもカフェオレやハムサンドを作り始める
「原因は医療ミスのせいだっけ?」