第29章 〜奇々怪々〜
「えっと……、取り敢えずお兄さん名前は?僕は江戸川コナン!」
「ああ、僕は光忠って言うんだ。伊達光忠だよ」
「へぇ〜!じゃあ光忠お兄さん、わざわざ仕事中に連れの人とハムサンド食べにきたの?」
一瞬びっくりしてしまったものの、何とか持ち直して名乗り合うと不快そうにしていないので、決定的な証拠が欲しくて夢中で質問を続けていく。何せ最近は組織についての進展がなく、こうして組織の幹部かもしれない人間と出会った以上、疑惑があるなら追求したかった
「いいや、仕事の休憩時間に来たんだよ」
「へぇ〜。それって危ない仕事なの?」
「ん?どうしてそう思ったんだい?」
「だってお兄さん、眼帯付けるでしょ?だから何か危ない事して怪我でもしたのかなって!」
「残念ながら外れだよ、こっちは病気で失明してしまったんだ。仕事は兼業なんだけどね、僕も連れも神職と国家公務員をやってるんだ」
「えっ……」
またもや想定外な答えを返されたコナン。一瞬フリーズしてしまうほど神職というワードは衝撃的で、全く同じ職に就いている知人達が咄嗟に浮かんだ
まさかそんな、いやいや信じるのはまだ速い。安室がコナンの前にオレンジジュースを置いて、疑り深くぎらついた目をするコナンを苦笑いで見た。そんな安室の表情に気づかず、コナンはいよいよ確信をつく質問を出した
「……てっきり僕、お兄さんはバーとかで働いてると思ってた。ワインとかお酒好きそうなイメージだし」
「うーん、自覚はあるよ。お酒は焼酎を嗜む程度かな、特別好きではないよ。料理に使うと美味しいんだ」
「へ、へぇ〜…」
どうやら、お酒に反応しない様子を見ると組織の人間という可能性は薄そうだ。寧ろ本当に料理が好きなんだろう、とても楽しそうに色気を放って笑っている
「それじゃあ、僕からも君に話がある」
「えっ?な、なぁにお兄さん!」
「僕はね、自分が怪しい人間に見える自覚があるんだ。そこの安室くんや僕の主君である麻衣穣、同僚達にも君の話は沢山聞いてるよ。本当にぐいぐい来るね、好奇心旺盛なのは良いけど」
「えっ、じゃあ……」
「でもいけないね、知らない大人に話しかけるのは危険だ。怪しいと思って警戒してるなら尚更ね。君は正義感もあって賢いらしいけど、一般人が悪人かもって疑いながら近づくなんて無某すぎる」