第29章 〜奇々怪々〜
また一つ新しい知識が増えて嬉しそうな元太や、詳しく知らなかったらしく真剣に聞いていた歩美と光彦。安室は心が癒されていく感覚になった
それから何か聞きたげに安室を見上げるコナンがいたが、結局探りを入れられる様子もなく、ポアロのバイト時間が終わって依頼人もやって来た。依頼は最奥のテーブルに案内したら小声で行われ、特に首を突っ込む人物もいないまま話し合いはスムーズに進んだ
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何年も前からネットで騒がれているお化け屋敷が存在する
曰く、スタッフ以外にもお化けが出没した。曰く、未使用どころか登録していない筈のBGMが流れている。曰く、監視カメラを確認すると、音響を担当するスタッフが気絶してしまう。そして誰も触れてもないのにBGMが勝手に切り替わってしまうらしい
更にネットでこれを書いたユーザーの調べによれば、現在お化け屋敷に使っている病院で事件があったのだそうだ。昔、病院に勤める外科医の一人が手術を失敗し、患者が亡くなってしまったのをきっかけに潰れてしまったという。なので今でも医療ミスで亡くなった人の霊が、自身を助けてくれなかった主治医を探して敷地内を闊歩しているという噂があった
今ではアニマの界隈でホラースポットと化して、本当に危険な場所として有名になっているーーー
それを「よく聞くホラーの定番じゃねぇか」と言って、帝丹小学校の怯えるクラスメイトに呆れたのはコナンだった。どうせ不法侵入してきた誰かの仕業だ、何かトリックがあれば出来ない事もないだろう。子供達は頭脳明晰なコナンの言葉に納得し、すぐにその話題は口にされなくなった。しかし本当は誰よりもコナンが一番、こういった話題に敏感なのである
コナンは学校を帰ってすぐに阿笠と灰原の家を訪れ、早速学校で聞いたホラー スポットについてネットで調べた。灰原が自身のパソコンを使って検索し、専門のサイトを開くと聞いた通りの内容を武器に運営していたようだ。そして宣伝に使われたらしい動画や、お化けに扮したスタッフを撮った写真などが載っている。問題は載っていた動画の中に謎の音源、謎の人影が写っている事らしい
「……やっぱり不法侵入者がいるか、スタッフの巫山戯た演出だろ。トリックがあれば出来ないわけじゃねぇし」
「そう思ってたんなら、どうして確認する必要があるのよ?」