第28章 〜ホラースポット・ポアロ3〜
───「それでは次のニュースです。
二日前に東都米花町で、眠りの小五郎として有名な毛利小五郎氏の自宅があるビル下で経営されている、喫茶店ポアロで事故が発生いたしました
亡くなった男性は望月要さん36歳。彼は杯戸町にある『株式会社○○○○』という工事会社に勤務しており、同じ会社の現場作業者である新島新さん40歳と高橋博之さん35歳、坂上徹さん36歳が同日勤務先の社内で死亡しているのが判明しました
彼らは国や市町村が義務付けるべき禁足区域に侵入したと見られており、その情報を管理する政府が禁足区域の指定リストに記入ミスがあった事を明らかにしました。現在、防衛省と内務省が再度禁足区域の把握に漏れが無いか確認しているもようです。これまで定期的に見直しがされていたらしく、管理不足を黙認していた担当の政府役人を懲戒免職とし、同じく確認を怠ったとして東都都知事に懲戒免職を言い渡しました
事故の当時、発掘物はオークションで財閥に落札されており、無事に回収しています
また、この一件に際して被害者四人はその現場から発見された発掘物の影響を受け、死亡に至ったと考えられており、その危険性から発掘物の速やかな破壊処分が行われました
今回挙がった禁足区域以外にも、全国あらゆる場所でそう呼ばれている地域は無数に存在します。そこに無断でちょっとした遊び心や肝試しなどで立ち入り、命を失った方も決して少なくありません
もしも近所や旅行先にそういった場所が存在しても、必ず立ち入らないよう自他で徹底するようお願い申し上げます
……それでは続いて、おめでたいニュースがあります」───
事故から二日後の朝、リビングの円形の机で朝食を食べる毛利一家とコナンは、毎朝見ているニュース番組で身近なニュースを聞く事になった。番組は先日ポアロで起こった事故死の情報を取り上げており、その内容はコナンが園子に事前に聞き及んでいた内容ばかりだった。当時一緒に巻き込まれてしまった蘭や、自分達の家の真下で起こったからと小五郎も真剣にテレビを凝視しながら聴いている
そして別の内容に切り替わると、口内のご飯を飲み込んで味噌汁の椀と箸を持った小五郎が視線をテレビから外し、椀の中の揺れる波紋を見つめる
「……禁足区域な、お前ぇら絶対近づくんじゃねぇぞ」