第28章 〜ホラースポット・ポアロ3〜
その場で立ち止まったコナンは快晴の空を仰ぎ見て、誰にも言うなと念押ししてきた園子の声が未だに頭を離れずにいる
「(……俺がさっき聞けた話は、真相の中の一部に過ぎねぇ。おまじないの効果を鵜呑みにはしねぇけど、あんな話が大袈裟だとも思えない。あんな気味が悪い謎は世に晒せねぇよ)」
何故かこれほど危険な物を持ち歩いてた園子は平気だった。障害物を挟んだ遠距離で対象を害せる物は何なのだろう。探偵は証拠がないと推理が出来ない、人間と科学が成せる範囲以外は検討がつかなかった
コナンはジッと空を見上げた視線を移し、事件現場だったポアロを見てみると、ちょうどドアベルが鳴って中から黒いスーツを纏った三人の男達が出てくる所で。そして出てきた男達の中の一人に見覚えがあり、思わず「あっ」と驚いた声が出る。声が聞こえたらしい男達が一斉にコナンを見やり、真正面から男達の美貌を直視すると、やはり見覚えがある男だった。同時にどうしてポアロから男達が出てきたのかも分かって、興味のままに男へ話しかけに行く
「確かお兄さん、長船長義さんだよね?麻衣お姉さんと前に公園にいて、事件に遭遇してたでしょ?僕もその場にいたんだけど……」
「……ああ、うん。ちゃんと覚えているよ。悲鳴が聞こえたのに近づくなんて、随分危なかっしい子供だなぁとは思っていたんだ」
コナンがしっかり記憶していた男ーーー長義は、喋りかけてきたコナンにぎこちない微笑を浮かべた。コナンもあまり良くない覚えられ方をされていて、内心仕方がないと思ったけれど複雑な心境である
「えっと、隣のお兄さん達も麻衣お姉さんの部下の人?」
「そうだよ。右にいるのが猫ごーーー南泉といって、左にいるのが白山だ」
「へぇ〜、僕は江戸川コナン!ポアロは麻衣お姉さんも行きつけのお店なんだよ!」
「へ、へぇ〜」
「そうですか」
長義に南泉と呼ばれた金髪で猫目の男は、気を取り直してにっこり笑ったコナンに口角を引き攣らせる。逆に白山と呼ばれた雪のように艶めいた短髪で、横が胸より下の位置まで伸びた髪を持った男は無表情なうえに淡白だ。しかも後者の方は腕に顔を隠して丸まっている、小さな白い毛並みの動物を抱えている
「だけどポアロは昨日の事故があって、立ち入り禁止なってるんだよ」