第26章 〜ホラースポット・ポアロ1〜
いきなり横から清光に声をかけられ、女子高生達とコナンが飛び上がるほど驚いた。安室もコナンの相手に慎重な中で、突然清光が現れたのには目を見開いて呆然となる。そのまま唖然としているコナン達の視線は清光の後ろに注目していき、窓ガラスからポアロ内の遺体が見えると両手を合わせて一礼した麻衣にも気がついた
「ふ、二人ともいつの間に?!」
「到着したのはついさっき、そしたら事件だって言うし皆外にいるからびっくりしたよ。……で?なんで安室サンとそのガキンチョが揉めてるわけ?」
コナン達を代表しての園子の疑問に、清光が肩をすくめて今しがた到着したばかりなのだと告げ、早速険悪な状況だった理由を問いかけた。えらく率直すぎる質問の仕方に、全員が責められた感覚になって暗く陰った顔で俯きながら口を噤んだ。すると遠くの方から段々、近づいてくるパトカーのサイレンが近所に響き渡ってきた。それが徐々に距離を縮めて大きく聞こえ始めてみると、コナンは漸く来たかと人混みの向こうに向けて俯いていた顔を上げた
パトカーに乗って現れた警察数名は馴染みの捜査一課のメンバーだった。警部の目暮十三、部下の高木渉と佐藤美和子と他二名、管理官職の黒田兵衛、後は鑑識係が数名だ。彼らは人混みを掻き分けながら歩いて来、安室に警察手帳を掲示して鑑識係の者達が中に入れさせて貰う。同時に店との距離を空けて規制線を張り、関係者以外の立ち入り禁止を呼びかける
「えー、今回は連絡によると病死かもしれんというお話でしたな。念のために色々聞いて、遺体も運んでいくので裏口から入れてもらえますかな?」
「ええ勿論、裏口は此方なんです。案内しますのでどうぞ」
スムーズに話が進んでいくと、安室を先頭にして刑事達がポアロの裏口に向けて建物同士の中道を一列で歩き出した。コナンは依然険しい顔つきのまま、病死じゃないと疑い続けている。しかし世良と蘭と園子が安室の推察に同意しており、ずっと安室を睨んでいるコナンを抱える蘭は心底困惑するばかり。一応関係者ではなく後から出てきた清光と麻衣は、刑事達に続いて裏口へ行く園子とすれ違う時、「壺の件については、聴取が終わってからお話ししましょう」と一声かけて別れた。そうして麻衣が目暮と高木と佐藤、安室や園子達の背中を見送ったのだ