第26章 〜ホラースポット・ポアロ1〜
「えっ?!何それ不気味……」
「壺で『おまじない』って……。如何にも胡散臭いのに、何でそんなの買っちゃったの?」
「と言うか、どうして競り落とした物を乱暴に扱うんだ?箱が開かない原因は調べたんだよな?君の家なら安全に開けてくれる科学者に依頼出来るだろうに」
一先ず話を聞いて不気味じゃないかと始め怯える蘭と、曰く付きの壺を買った次郎吉に呆れるコナン。そして世良は壺の価値より園子の家族の行動が不思議で、工具使っても開かない箱の仕組みを気にしていた。コナンと蘭も世良の疑問にコクコク頷き、園子を見つめて話を続きを催促した
「オークションには叔父様だけで行ってたんだけどね、そもそも壺が入った箱ごと商品扱いだったのよ。これが会場に出てきた時もそう、鎖でぐるぐる巻きにされて南京錠まで。箱にはボロっちいお札も貼ってあったもの、実際にヤバい事に扱ってそうなくらいだわ」
「確かに、見た目で信憑性を訴える品物だけど……」
「なのに叔父様が競り落としちゃったのよ。持ち帰った後は美術品部屋に保管してたんだけど、掃除に入った使用人達や私や家族や皆が見ちゃったのよ!一人でにガタガタ揺れ出すの、鎖のせいで安定感がないから専用のケースを作って保管している内側でね!」
園子が話していくうちにその光景を思い出したのだろう、自身の体をぎゅっと抱きしめながら恐怖に震える声で喋っていく。向かいで「ひっ」と小さく悲鳴をあげた蘭だが、世良とコナンは中に動物か動く機械でも入っているだろうと考えた。受け渡しの際に間違われたか、間違っていないのであれば壺の中にいるのかも
二人がそのように告げてみれば、既にX線の検査を済ませているらしい。木箱の中身は何も隠されていないただの壺だった。だから尚更不審に思って鎖を外し、箱を開けてみようとしたがロックも無いのに蓋が閉ざされたまま外れない。材質的に腐っている木材なので、工具で容易く壊れる筈が刃も傷一つつけられない。そして蓋の部分に貼られた札も剥がれる様子がない。正にタネも仕掛けもありませんだ
「……それ、オークション開催者に騙されたんじゃないの?」
「勿論私達もそう思っていたわ。だけど主催者企業がそういう物を売買してると知って、面白半分に参加しちゃったみたいなの……。曰く付きだけど、危険は一切ない物だし密閉させたまま管理するようにってね」