第22章 〜大阪心霊現象ミステリー 追求編〜
麻衣はまたもはっきりと頷いた。そして次は三船夫婦に向けて捜索の許可を仰ぐ
「ご夫妻、すいませんが、庭の草木が生えていない部分を掘って捜索する許可を頂けませんか?」
「ぬ、あそこは確かに不気味やが……。そこに木箱が埋まっとると?」
場所を限定しさせて許可を求められ、夫の方が戸惑いながらに確認すれば、深刻な表情をする麻衣が二つ返事で断言する。曰く、「あそこは不浄の空気が漂っていましたから」とーーー
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先に三船清次郎が告げたように、確かに塀に沿って草木が並ぶ隅一箇所に何も生えない薄暗い部分があるのは不気味だった。お陰で麻衣の話に恐怖が一入されて、蘭と和葉は真っ青な顔色で違いを抱きしめ合い、小五郎と安室はゴクリと唾を飲むほど圧倒され、彼らの更に離れた場所では三船夫婦が不安そうに状況を見守っている。一方で平次とコナンは小五郎と安室の隣で顔を引き攣らせており、その眼前では青江と数珠丸によって発掘作業が進んでいた
「ふふふ、割と深くがっつかないとアレが取れないね。……あ、木箱が見つからないって意味だから」
「こらこら、女性と子供の前ですよ。もっと自重して発言して下さい」
彼らはせっせと2人がかりでスコップを使って土を退け、埋まっているだろう木箱が傷つかぬよう注意しながら掘り続ける。その間、青江の妙に意味深な発言と数珠丸のほんわかとした喋り方で呑気な空間が出来上がっていた。彼らはひたすらザクッザクッと掘り進めていき、主人の麻衣とコナン達に見守られる中、ガツンッとスコップが何かを小突いた音と共に数珠丸の「おや?」と驚く声がする
「……嗚呼、これが例の。木箱を掘り当てましたよ主、引き上げますか?」
「いいえ、ここから先は警察に託します。誰も一切それに触れてはいけません。このまま現場保存を徹底し、無闇に触れて証拠を無くすことがないように」
「「了解」」
麻衣の泰然とした無駄がない指示に、部下の二人が声を揃えて畏まる。ほぉ、と感嘆を零したのは小五郎で、終始証拠に気を配る態度に見事なものだと思った。と言うのも、怪現象が事件性を示唆する可能性に気づき、それを証明できる庭に埋められた不審な木箱も発見したのだ。信じる者が少ない怪異の立証は酷く難しく、大胆に証拠で不可能を見出すその行動に目を見張る