第22章 〜大阪心霊現象ミステリー 追求編〜
しかし、証拠保存のためとはいえど、木箱を一切確かめようとしない麻衣達に蘭と和葉は困惑を露わに思わず口を出す
「えっ、麻衣さん中身の確認はしなくていいんですか?」
「違ったらどうするんな、もしも中のもんが怪奇事件と無関係やったら……」
そう言って不安を感じて寄りそう女子高生の二人に対し、部下達の作業を見守ったままで「大丈夫ですよ」と麻衣が断言した。やはり何処までも確信に満ちている巫女の振る舞いを見ては、不思議と疑うことさえ不要だったと思わせられるやり取りなのだったーーー
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警察が木箱の調査をするにあたり、三船清次郎とにっかり青江の二人が家で留守番をする事になった。そして留守担当の二人を除き、全員が大阪府警の本部に向かった。警視庁に到着すると、フロントの女性に話が通っていてすぐに上階に通されたわけだが、その通された部屋と先で待っている警察官が問題だった
大阪府警警視総監室。そう書かれている金のプレートが付けられているドアを前に、案内係の警官と麻衣と数珠丸以外が「は、え……?」と困惑しながら麻衣と警視総監室を交互に見やる
どうして警察の捜査もあったといえど、探偵や神社に舞い込んだ依頼の被害調査の為に警視庁の総監室に入るのか。例えそれが容易に取り計らえる立場だったとしても、いきなり警察のトップに目通りが叶うのは異常な出来事だ。コナン達全員が唖然とする中、案内係の警官がドアをノックし、「失礼します」「入ってええ」というやり取りをしつつ、先に入室して一礼すると中の人物に客人を知らせる
「服部総監、東都の九十九神社御一行と探偵二名とお連れ方、そして事件の被害者の女性が到着いたしました」
「そうか、ご苦労やった。ここに通してお茶の準備を頼む」
「はい」
中の警視総監と思しき威厳ある声が聞こえる度に、自然と誰より奥に下がった平次が肩を揺らして表情筋を引き攣らせる。依頼を受けた当初は、よもやここまでの事態になるとは思っていなかった
大阪府警本部長総監ーーー服部平蔵。この人物は、そこにいる高校生探偵の服部平次と実の親子関係にあたるのだった