第22章 〜大阪心霊現象ミステリー 追求編〜
嫌だイヤだ、知りたくない。認めたくない、だけど確かめたい。これは最早、どうしようもない恐怖への好奇心だ。分からないからこそ、明確にして理解したがる。探偵達に知らぬが仏、という言葉は滅多に通じないのかもしれない
彼らは妙に緊迫とした空気を纏いつつ、遂に顔を見合わせて頷いた後にせーのでブルーシートを一気に捲り上げた。大きく捲り上げて、シート下の血痕を目に映そうと床を見ると、二人の顔が恐怖で強張っていってしまう。無かったのだ。綺麗さっぱり血痕だけが跡形もなく消え失せており、それを見たコナンと平次は言葉を失くして呆然自失のままブルーシートを握って硬直するしかなかった
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「ではまず、遭遇してきた事案について一通り挙げていきましょう」
顔が青ざめたコナン達と合流し、身支度の後にお祓いの儀を終えた一同は、再び居間に集って続きの話し合いを始める。まずは安室の提案を呑んで、状況を整理する事になった
最初に怪奇現象の一つ目、番号のない不審な電話が来る事。これは今まで三船家の固定電話にかかってきたが、此度は麻衣のアカウント設定やネット設定がない端末に電話がかかってきた。勿論設定がないので端末の電話番号も無く、電話の繋がりようがないのだが、確かに通話状態になっていたのをコナンが確認している。実際に相手と言葉も交わし、電話の後で端末のチェックもしたが何の仕掛けも形跡がなかった
次いで二つ目、意識が共有される謎の悪夢について。これは小五郎を除いた探偵達と、青江と数珠丸以外が寝ていた為に多くの証言がある。その為、身に覚えがある全員がそういえば、と主張を挙げていく
「あっ!悪夢ってわけじゃないけど、真っ暗闇のところで夢って自覚しながら皆と会った夢なら見たよ?」
「え、蘭ちゃんもそうなん?!私もそうやねん、麻衣さんが『これ以上は危ない』言うて返してくれてなぁ」
「おう、それなら俺も昨夜の夢で居合わせたぞ。なんか風で吹かれたみてぇにフワッと浮かんだ心地がしてだな…」
「私ら夫婦もです。気づいたら普通の夢を久しぶりに見れて、なぁアンタ?」
「せやな。ちょうどあの時おらんかったメンバーが、夜中に起きて徘徊しとる不審者に遭遇しとるとは……」
彼らの中で自分達の夢が一体化している事を再認識し、どういう事かと全員の視線が麻衣に注がれる