第21章 〜大阪心霊現象ミステリー 真夜中編〜
しかもコナンに至っては、もう何度となく迷惑をかけては説教を受けた前科が多々ある所為で非常に肩身が狭いのである。それを唯一知らない服部だけが、妙に聞き分けが良く大人しい少年の違和感が感じるようで不審なものを訝んだ顔をしていたーーー
閑話休題。兎も角、そういった成り行きの結果、今に落ち着いているわけだ。この世に不可能な出来事なんて起こらない、幽霊や妖怪なんて存在しない。未だにその考えは揺らがないが、しかし、科学で説明出来ない現象があるのは理解した。冷静な頭でその結論に達し、最早認めるしかないと納得した。「はぁあああ…」コナンの口から子供らしくない疲れ切ったため息が漏れる
「(この家、本当に何が起こってるんだ?)」
コナンが内心でボヤいた時だ。ズルッ、ビチャビチャッ、ズルッ、ビチャッ。不意に廊下側から何かを引きずるような、粘っこいものがコナン達の使う部屋に迫ってくる音がした。ぞわわっと全身に悪寒が駆け巡る。一体次は何なのか。咄嗟にコナンが勢いよく体を起こすと、小五郎を挟んで反対側の安室と服部も体を起こして警戒態勢でいた。如何やら彼らも密かに起きていたらしく、小五郎だけがねたままだ
「……平次兄ちゃん、安室さん。この音なんだと思う?」
「なんだも何も、ネチャネチャしとう重たいモンを引きずってるようにしか思えんけどな」
「そうですね。一応、麻衣さんの護衛が二方いるので大丈夫だと思うのですが……」
低く小さく落とした声でコナンが二人の探偵に意見を問うと、廊下の様子に気を張る服部と安室がそのままの見解を短く答えた。少し襖から溢れる廊下の灯りは、麻衣の部下達が警備のためにつけたものだ。淡いその光に怖さが半減するが、会話中も音は続いている。ところが、廊下に待機している筈の青江達が身動きしている様子が感じられない。話し声も物音もせず、慌ただしさが一切ない
ズルルッ、ベチャッ、ずにちゃっ
まさか二人して何処かに行ったのか、そんな嫌な予想を三人誰もが思っていた中である。コナン達の焦りなんて梅雨知らない、呑気な喋り声が二人分聞こえてきた
「おやおや、これまた凄いモノに憑かれたねぇ。……動く惨殺遺体のことだよ?」
「「(動く惨殺遺体?!)」」
思わずギョッと目を剥いた三人が驚き、部屋を出そうになったがすんでの所でグッと堪えた。