第21章 〜大阪心霊現象ミステリー 真夜中編〜
「……さて。最後になってしまいましたが、少年」
「……はい」
青江と数珠丸によってお祓いが済んだ後、麻衣に屈んで声をかけられたコナンは少し気まずい思いで視線を晒していた。正直、今のコナンは麻衣と話しているよりも、服部達とともに彼女達の前から一刻も早く去りたい気分だった。そう、これ以上、訳の分からぬモノに触れたくない。そんな明からさまな拒絶を見、それでも表情を変えない麻衣が口にしたのはコナンに対する謝罪だった
「私は運動神経があまり良くありません。ですから、急に貴方が出てきた時は驚いて反応出来なかった…。それは言い訳に過ぎませんし、予測出来なかった私の落ち度に他なりません。少年、端末を取り返せずに、怖い思いをさせてすいませんでした」
「(麻衣さん……)」
声からも申し訳なさが溢れる麻衣の言葉に、コナンは思わず呆然となって彼女に目を向けた。そこで視線が丁度の位置までしゃがみ、麻衣が深く頭を下げている。それに戸惑いつつも頷くコナンは、どもりながら自分もと主張する
「ーーーう、うん、ボクは大丈夫だよ。それより、こうして迷惑かけてしまったごめんなさい。勝手に端末取っちゃったのが原因なんなんだよね?電話が来る筈ないって話も聞こえていたし、それを信じなくって強引に奪っていったせいで…」
「そうであってもです。電話がアレにかかってきたのは想定外でしたが、写真検証の時にと説明を後回しにしていた事は良くありませんでした」
「そうだね、今回は僕達側の注意不足だろう。もちろん少年自身が挙げた反省点は、是非とも直してほしいんだけどね……。どんな事でも突発的な行動は避けて慎重に。特にこういう案件だったら尚更無闇に踏み込まない、触れないことが一番だよ。一般人の君達には無謀な事だ」
それ以上の災難、厄介事を背負いたくないだろう?そんな不穏な言葉を麻衣に続いて薄ら笑いの青江からも貰い、ゴクリと唾を飲んだコナンが珍しく神妙な顔で深く頷いた。つまりは、こうして素直に忠告を聞き入れるほど、信じ難い事態に遭って少しは堪えたようだ。やはり自分が今追う凶悪な犯罪組織と、それに加えて専門外で対処に困った問題が増える事は御免被りたい。無論、それは安室も当然避けたい事で、二人は一語一句をしっかり肝に銘じていた