第20章 〜大阪心霊現象ミステリー 迷惑電話編〜
コナンが大ボリュームの絶叫に負けないような大声でそう言った途端。不自然にピタリと声が止んだ。煩かった騒音も聞こえず、シンとなった静寂の中でコナンは電話の向こうを警戒した。ピリッと張り詰めた空気。しかしそれもほんの数秒だけの出来事で、やがてスピーカーからクスクス嗤う男女の声が辺りに木霊した
しかも、その声の中には「痛い、助けてくれ」と必死に懇願していた大勢の声も混じっていて。それらがコナンや麻衣達全員をを嘲笑するかのように楽しそうに笑い出す
【ふふふふふっ!】
【きひひ、けけけけけっ!」
【あはははははははっ!】
【いまさら無駄だよ、ヘンテコお兄ちゃん!だってーーー】
私達、とっくの昔に死んでるもの。最後に全員の声が重なって聞こえたと思えば、再び廊下が静かになった
「え、は……?もしもし?!もしもし、誰か…!」
意味の分からない電話に唖然となっていたが、すぐに持ち直したコナンが再び声をかけてみるも応答が一切ない。そこで改めてスマホの画面を見れば、すでにホーム画面になっていた。それも写真やメモ帳、時計と設定といったネット契約がいらない簡素なアプリが十個足らずあるだけだ。つまり麻衣が言ったことは本当で、端末内に誰かと連絡が取れるアプリは一つもあらず、あろう事か電話設定にこの端末の番号さえも登録されていなかった。他者から電話がかかってくるなど、本当にありえないのである
「そんな馬鹿な、嘘だろ……っ」
「コナン!今の悪戯電話でなんか気づいたんかお前?!」
今度は保存された写真やムービーを血眼になって見ようしているコナンに、服部もそれを見ようと声をかけて駆け寄った。しかし彼は友人に応える事なく画面を見たまま愕然とし、放心状態であったがすぐに怯えたままの三船典子に寄り添っている麻衣を強張って緊迫した顔つきで振り返りざまに見上げた。彼女は薄暗い廊下でも分かるほどに顔色が悪く、胸元の服を握りしめて不快さを隠さぬ表情を険しく歪めている
「……どういう事か麻衣さんは分かってるんだよね?だから冷静なままで驚かないし、気味悪がっても怯えていない。どうしてアカウントも連絡アプリも無しで電話が来たの?画面は着信モードで、そう見せかける仕掛けもなかった」
「は……?ちょぉ待てコナン、電話の話はマジもんやったんか?!」