第20章 〜大阪心霊現象ミステリー 迷惑電話編〜
【あははははっ!!ははははははっ!!】
【いやぁぁあああ!痛いっ、イタイよぉおおお!!】
【誰かタスケてくれっ、頼む、頼む!!ぎゃあああっ!!】
ドガッ、ガシャガシャンッ、ギュインッ……
ピチャッ、グチャグチャ、メキャッ、ずちゅっ…
狂ったように高笑いする声と、苦痛を訴え続ける凄惨な絶叫の声、ひたすら助けを乞うて悲鳴をあげる声もーーー。それと同時に、物と物が乱雑にぶつかる騒音や、嫌に生々しい水音までが。全て電話口からとは思えぬボリュームで家全体に届く勢いだった
「ひっ……!なんで、なんで巫女さんの携帯にかかってくるの?!巫女さんは電話に出ていないのに…っ」
「「「?!!」」
電話に出ていない。恐れ慄いた三船典子の悲鳴のような言葉を聞き、安室と服部がこの不可解な事態に息を呑んで唖然となった。猟奇殺人のものと思しき数多よ音に、その残酷な場面を想像しては身動きが取れない。しかしそんな二人を他所に、今の麻衣達が危険と判断し、陰から飛び出す少年が一人。二人は咄嗟に呼び止めようとする
「あ、コラ!くど……、コナンちょぉ待たんかい!!」
「コナンくん!!」
服部が呼び名を慌てて誤魔化すように叫ぶのに続いて、安室も咄嗟に呼びかけるが、コナンを捕らえようと伸ばした手は刹那の誤差で空を切る。そうして彼らの呼び声は虚しく、コナンは麻衣達の元へ駆け寄った
「麻衣さん!すぐに電話を出して、早く!!」
「少年……」
「坊や……?」
およそ小学生の見かけに合わぬ、コナンの鬼気迫った顔。突然コナンに急かされた筈の麻衣は、けれど自分達以外の三人に目を見開いて驚くだけで何もしない。その隣の三船典子もコナン達の姿に何故、と更なる混乱を起こしているようだった
これにはコナンも思わず「くそっ」と悪態を吐いてしまうが、麻衣が着ていたパジャマの上に羽織った上着のポケットからスマホの画面が覗いているのが見えた。すると彼は有無を言わさず、「貸して!」と言うのと同時に素早い動作で麻衣からスマホを掠め取った
画面は電話応答中の表示である。それを一瞬で確認した少年が、すぐさま耳にスマホを当てがった
「もしもしっ、もしもし!自分達が何処にいるか分かる?!助けを呼ぶから教えて!」