第19章 〜大阪心霊現象ミステリー 初日編〜
そして件の麻衣達はといえば、やはり護衛の都合があって三人で同室を使うという。これに思わず心配の声をあげたのは三人で、一人娘を持った小五郎、同性の蘭と和葉だった
「おいおい、仕事仲間だろうが仮にも男女だぞ?一緒の部屋で本当に大丈夫なのか?」
「あの、女子は三人だけだし私達と一緒の部屋を使う方がいいのでは?和葉ちゃんはどう?」
「もちろん全然平気やで!っていうか、歳が近そうな子やし同じ部屋で三人一緒に寝泊まりしたいなぁって思っててん!巫女さんやから心強いし、何よりお兄さんらを疑ってへんけど男女共同はなぁ」
家族でもない男女が同室というのは、恋人関係であるならまだしも世間体が宜しくない。その為、女子がなく三人だけというのもあって同室させた方が良いのではと善意で麻衣に誘いかけた。すると青江があっさり「うん、じゃあ主を宜しくね」とにっかり笑って言った。これには麻衣も少し動揺しつつ、青江を振り返って真意を問う
「あ、青江?それで構わないのですか?」
「ああ、もちろんだよ。だってどの道僕らは主の部屋の前の不審番と、家全体の見回りをしたいと思っていたからね」
「ふ、不審番と見回りやて?なんで探偵の俺らも誘わんと勝手に決めてんねん!」
「そ、そうだよ!僕も悪さしてるのが何なのか知りたいな!一緒に見回りしたい、ね、良いでしょ?!」
麻衣に問われてさらりと言われた企て。これでは幽霊に怯える蘭と和葉を護り、ついでに夜中に家を這いずり回る誰かを捕まえる手柄が取られてしまう。そう考えた服部は青江に、コナンは数珠丸に詰め寄った。しかし服を掴む彼らの両手を二人は握り、そっと優しく剥がして拒まれる
「残念ながらお気持ちだけ引き継いでおきましょう。貴方は幼すぎて夜更かしせられませんし、そちらの関西弁の方もおそらく未成年でしょう?大人でもあり子供でもある。ここは我々大人に任せるべきです」
「連れの女性達が心配なのも、物怖じしない意欲も素晴らしいけどね。自ら危ないことに突っ込んでいくのは感心しない。君らが荒事で何かあったら悲しむ者がいるし、責任を持って未成年を守るのは大人の義務なのさ」
「「うっ……」」
至極真っ当な説得を穏やかな声で真摯に言われ、服部とコナンは何とも言えず言葉に詰まってしまった