第19章 〜大阪心霊現象ミステリー 初日編〜
「お、おう!もちろん分かってるがな、ハハハハハ」
「あはははは…」
まるで、やんちゃな子供を相手に優しく注意するような声音だった。服部達は引き攣った口角をから笑いで誤魔化すが、目に見えて動揺と焦りが隠せていない。図星だったと察するには十分だ。二人とも目先の謎に気分が一瞬にして高揚し、僅か数秒で冷水を浴びたような感覚を味わった
『被害者の気持ちを察する』、【謎解き好きでも喜ぶのは失礼だ』と。そんな確かな言外の意味に気づき、失念していた事を密かに恥じた。そのままから笑いが虚しくなり、少し雰囲気が悪くなるも、「と、兎も角や!」と必死に取りなす服部
「不審電話の番号が分からへんとか、夢を誰かと共有して見るとか、心霊写真らしきもんとか!全部普通はあり得へん事や、もっと詳しゅう説明してくれ!」
「く、詳しゅう言われても…。こっちかて混乱しっぱなしで上手く話せやしまへん。もう、実際に体験してもろうた方が早いと思います」
主にオカルト事象を『ありえない』とバッサリ切り捨て、そのまま険しい形相で三船夫婦に更なる説明を求めた。しかし本当にどう言ったものか困った様子の典子の方が、目の当たりにするのが早いと言うのだ。これにコナンと服部が顔を見合わせ、夫は妻の意見に頷いた
「では、一通りどういったものか把握してから話しましょう。何なら調査にあたった刑事達の証言も大事になってきます。こちらでご協力願えるように手配いたします」
「手配ってアンタ…。神社の巫女の仕事に普通警察が顔出すか?」
「普通はありませんよ。それだけ我が家の神社が特殊で、警察に顔が効く存在だと思って下さいな」
麻衣がまとめ役の如く話を締めた最後、只者ならぬ巫女だと語った彼女に対し、服部は奇妙なものを見る目を向けていた。その一方でコナンもまた、麻衣達と安室の事を密かに勘繰るような目つきでジッと見ていた
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三船邸は普通の家より面積が大きく、部屋数も多くてリビングや居間、客室以外は全て和室となった木造建築だった。取り敢えず落ち着いてそのまま食事の時間になり、客間を毛利一行と服部達にあてがわれ、隣の和室を麻衣達と安室が使って大勢での夕飯が行われた。その後、使用を許されたニ階の部屋に案内されると、毛利一行と服部達と安室は男女で別れて二部屋を使用することに
