第19章 〜大阪心霊現象ミステリー 初日編〜
「そ、そないにおっかないのがおるん?!」
「まさか本物の幽霊?!」
「阿呆、そんなもん実在するわけないやろ」
「そうだよ、考えすぎたよ二人とも!」
どうやら蘭達は純粋で怖がりらしく、『それっぽい』話がよほど苦手らしい。すっかり怯えた様子の女性二人に、コナンも服部も呆れた眼差しを向けつつ「ありえない」とバッサリ言い切った。そして探偵側の四人のやりとりを耳に入れつつ、暫し顎に手を当て黙考していた麻衣は、顔を上げて暗い表情の夫婦を真っ直ぐ見る
「先の被害項目を聞くに、まず疑うのは現実的な工事の不備、第三者による家宅侵入を始めとする犯罪だったと思います。警察や住宅センターなどに連絡したりはしましたか?」
「え、ええ…。勿論しましたよ?巫女さんの言った通り一番に疑ったのはそれでしたし…」
戸惑ったように答えたのは妻だ。心霊に関する専門家から、まるで探偵のように無難な質問が来るのは彼女にとって意外なことだった。それは妻のそばに控える夫もそうであり、依頼が進む会話で気を取り直した探偵二人もそうである
青江は麻衣の後ろで全員の反応に苦笑していたが、隣の数珠丸はずっと微笑むのみで麻衣は一切気にしていない
「捜査の結果はどうでした?」
「……まったく異常なしです。この家は去年リフォームしたばっかりで、家鳴りがする筈がないと。実際、調べてもらっても可笑しな部分は無かったそうです」
「警察の方にも、何日か泊まりで調査してもろうた。やけど電話がまず人命に関わらんって事で逆探知が許可出来んて言われ、番号だけでも調べてもろうたけど存在せんって言われてな。夜中に家を這いずるもんも、物が移動する絡繰も一切教えてくれへんで…」
「しかも不法侵入された様子も無いって話やし。最終的には刑事さんらがやたら怯えた顔で捜査断念するって……」
「怯えて断念って、結局何にも分かってないじゃん……」
「ちょっ、コナンくん!!」
三船夫婦が麻衣の新たな質問に対し、当時を振り返ってか揃って俯きながら答えると、コナンから胡乱げな眼差しと鋭すぎる一言が。これにすかさず蘭が名前を呼んで止めにかかるも、「だって…」と続けるコナンに正面の青江が首を不思議そうに傾げた
「……うん?それは本当に何も分かってないんじゃないと思うけど」
「え?」
