第16章 〜山姥伝説 後編〜
ーーーーーーーーーーーーー
(⚠️重ねて警告!ここではグロ・流血の表現が露骨になっています!!苦手なら絶対見ないでください!!)
ーーーーーーーーーーーーー
*
そこ一帯を彩る色は、鮮明すぎる真紅の液体
木々の色や土の匂い、動物達の声まで、その空間は穢れたモノで容易く塗り替えてしまう
血、血、奇声、血、肉、血、肉、奇声、笑顔、笑顔、奇声、血……
数多の遺体が地面に転がされていた
生者はたったの十人、対し村人達の総人数は三十ちょっとである
どうやら村人達は、互いに殺し合いをしていたのだ
しかも四肢がバラバラに解体され、子供が玩具で遊び終わった後の如く、そこかしこに散らされていた
ところが、何より驚くべきは殺し合いではない
グチョッ……ブチブチッ……ムシャ……ッ
そんな生々しい音を出して、全身を真っ赤に染めた村人達がナニカを喰らっていた
「アハハハッ!オイシイ、オイシイ、オイシイ!!」
そう言って笑顔でいられるコレは、異常に狂っていた
原型を留めていない人間の肉を美味しそうに頬張る幼い子供
その奥には、男を涙ながら笑って喰らう妙齢の女性
その右隣、左側、最奥、色んな場所で村人達が人肉を嬉々として頬張っていた───
*
大人も子供も、男も女も、全員が全員狂ってる。何とも理解しがたい現実を目の当たりにし、黒田は数秒の間言葉を失う。そして山姥切達も咽せ返る様な瘴気を前に、顔を顰めて「うわぁ……」「最っっ悪だ……」と呟いた
恐らく、どんな事件よりも今目の前にある惨劇の方が遥かに酷たらしいに違いない。そんな事を漠然として考えながら、ふとそういえばと黒田は思い至った
『誰かの命を食らい、飢えを凌いだのでしょう』
公民館で調査した折、麻衣が言った言葉だ。果たして彼女は、この光景まで想像してその表現をしたのだろうか。単なる比喩表現じゃなかったのか。黒田はまだ成人にも満たない少女を思い浮かべつつ、彼らの犯行を抑えるために現場に踏み込んだ