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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第16章 〜山姥伝説 後編〜



「「……っ!!」」


突きつめれば当然見つかるその疑問。これで一瞬頭に浮かんだ一つの仮説が、黒田と風見の顔を不快感で歪ませた。彼らが数分前に読んだ山姥伝説によれば、『山神様』は『山姥』だったと書かれている。そして神社がなくて、祀ってもいないモノへと贄を捧げ、その被害があったのだ。するとつまり、


「……恐らくここで行われたのは、降霊の儀式か何かと称する洗脳的なものと思われます。それが都合よく山神様と呼ばれ、後に山姥に変わった」

「ですが…。それって何だか、おかしくないですか?贄とされる者に降霊で神を降ろそうとし、山姥に変貌したというなら、どうしてその村人が死んだ後も儀式無しで被害が相次いでるんだ?」


気味が悪いと言いたげな風見が、そんな疑問を振ってみると逆に不思議そうな表情をする山姥切国広がこう返す


「……麻衣がいつ、生贄に対し降霊術をしたと言った?贄は惨殺されて山に捨て置かれたのだろう?そも神ではなく山姥を生む儀式というのはなんだ?清廉なものじゃないのは確かだな」

「それに生贄の方が儀式を受けると、風見刑事の仰る通り山姥はその時点で消え失せる。その後も山姥が村人達を蹂躙するのは逸話が可笑しくなってしまう…。ですが、逆に考えると全てに説明がつきます」

「「逆に……?」」


山姥切国広に続いて麻衣が確信的に言えば、刑事二人が顔を顰めたままで彼女に問い返した。それに淡々と応える麻衣は、冷静に分析するには残虐な推論を導き出す


「山姥になったのは生贄ではなく、村人達の方だったんです」

「「……?!!」」

「村人達が飢えを凌ぐために贄を出し、殺害したのでしょう。しかし儀式が失敗に終わり、飢饉は酷く悪化する一方…。だから飢えを凌ぐため、村人達を次々殺していった。誰かの命を食らい、飢えを凌いでいったのでしょう。恐らくこれが、山姥伝説の真相なんだと思いました」


無論、全て推測に過ぎませんがね…。そう言って話を纏めた麻衣は、ひたすらに淡々として無表情であった。風見と黒田は話の残虐さから、衝撃のあまり絶句していて我を忘れてしまっている。しかし、本棚に資料を戻した麻衣がふと黙り込んで俯き、僅かに嫌悪を抱いて瞳を細める様子を二人は見逃さなかった。彼女は正確性に欠ける推論を告げたが、割と現実的で筋も通っている
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