第3章 〜全てはここから始まった〜
そんな少年の様子に戸惑う麻衣の前に、国永と清光が瞬時に現れ背中で守るように立ち塞がってみせた。その行動は、まるで目の前の人物を危険な相手と認識してる様…。そして実際、コナンを無表情で見つめる二人の目つきは、氷の様に冷たく鋭利で怒りにギラギラと輝きを放っていた。激しい殺気を真正面から受け、少年の体はゾクリと震え上がる
「……お前さぁ、マジでいい加減にしなよ」
「君みたいなモノは初めて見るな。名前を知らない、話したことも無い、接点だって無い初対面のはずだ……。なのに如何して、坊主が麻衣嬢のことを知ってる?そして何故、君は得意げになって他所様のトラブルを語っている?警察以外に語る意味なぞ無いだろう?」
「そーそ。オレらはちゃんと警察に連絡したし、望ましい形で対応してもらおうとしてるだけ。最初の一言は兎も角、後のは完全な脅しに聞こえるよ?いくら好奇心が旺盛でもさ、一線超えたらヤな奴としか思われないから」
「え……」
二人の底冷えする恐ろしい声が、コナンを容赦なく交互に攻め立てた。然し、本人は何故、という戸惑った顔で清光達を呆然と見上げている。今までも同じ手で初対面に話しかけたが、ここまで嫌悪されるのは初めてだ。それも、『もの』扱いや『危険人物』とまで不本意に呼ばれる始末である。
だがその時に、ふとコナンは周囲の『ある異変』にやっと気づいた。なんと、麻衣達に話しかけた時は賑わっていた店内が、今は不自然に静まり返っている。その為、全員の視線が何事だ、とコナン達に注がれているのだ
「あ…!ちょっと、コナンくん、何やってるの?!いつも駄目って言ってるじゃない!!」
「何かありましたか、お客様?!」
そんな中、青ざめた顔でコナンの名を呼んで駆け寄る女性と、慌てた様子の褐色肌の店員がテーブルの側まで現れた。蘭と安室の二人である。そして、蘭はそのままコナンの横に立つと清光達に誠意を込めてバッと勢いよく頭を下げた
「こ、コナンくんがお邪魔して本当にすみませんでした…!悪気はないけど好奇心旺盛で、すぐに何処かへ行っちゃう子なんです!なのに私、会話に夢中で、騒ぎになるまで気づけなくて……!」
「ふーん……。なら、あんたは子供の保護者って事?」
「は、はい…」
萎縮し自分達の振る舞いを謝罪する蘭に、付喪神二人はその目を細めた