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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第15章 〜山姥伝説 前編〜




それは「ですが」と言葉を区切った彼女の、力強い意思を秘めた両目の鋭さを見れば明らかだ。すでに言葉をなくして伝わってくる覚悟の強さ、弱音を吐かないストイックな姿勢は思わず風見がハッと息を呑むほど圧倒さていた。今の麻衣にはさっきまでの可憐でお淑やかな雰囲気が全くない。けれど、彼女の顔色は変わらず青白くて気分が悪そうなままである


「ーーーですが、貴方の仰る通りです。動揺してばかりでは合同捜査も円滑に運びません。此方が足手纏いになっては、宮内庁の威光にも関わります。……今後はきちんと気を引き締めますので」

「あ、ああ……否。あまり無理をされても、今度は此方が気を遣ってしまいかねん。自分の調子をよく考えて行動するのをお勧めする」


そう言って麻衣に不器用ながら助言するそっぽを向いた風見は、脳裏にふと違った部署で所属している上司の顔を浮かべていた。上司は日本人で珍しい金髪褐色肌の容姿をしており、さっきの彼女と同様仕事に対し非常にストイックな部分を持っている。その男の名は降谷零、以前麻衣の事を調査するよう命じてきた人物で、何故か似通っていると感じてしまった

しかしそんな事など知りもしない麻衣は、風見の助言に目を見開いて驚いたものの、すぐに「?!……あの、ありがとうございます」とやや表情を緩めて返していた。これにそばで見守っていた五虎退を始め、他の刀剣達も僅かにホッとした。協力関係にある組織間で揉めることは良くない。だから刀剣達も庇う事なく主人の言動力を信じ、結果風見の態度が軟化されて良い方向に転がったわけだ


「……まあ、そういうわけだが、彼女の持ってる才能は確かな物だと保証しよう。とりあえず現場調査の情報を教えてくれないかい?」

「はい。ここの第一現場で亡くなったのは須藤透、70歳の独身男性です。死因は凡ゆる箇所を刺された失血死、または心臓を一突きにされた致命傷で即死という、二通りの線が考えられています。おまけに全身噛みちぎられた様子が見られ、犯人に繋がる証拠も証言さえも一切得られていないそうなのです」

「そして他の現場の事件も、全て森の中に同じ状態の遺体が放棄されている…。恐らく、野生動物達の姿も多くある様なので、彼らに荒らされたのかもしれません。我々は何度も事件に携わって来たが、ここまで酷い状態は初めてです」
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