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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第15章 〜山姥伝説 前編〜



「お願いします」


麻衣がその申し出に承諾する後ろで長義達も頷いた。全員で黒田の引率のもと、事件現場となる山の中へと足を踏み入れる。風見は彼女達の後ろをついて行きつつ、彼らの背中を冷や汗を流しながら鋭い視線で睨みつけた


「(……何だったんだ、さっきの恐ろしい威圧感は?確かに少女の方は普通だが、連れの男達が放った今のは危険すぎる!まさか宮内庁はこんな奴らばかりなのか?)」


そうして恐怖を煽る様な想像をしては、背筋が寒くなった感覚を思い出してしまう風見。彼はこの時初めて、誰かに『政府所属(味方)で良かった』という心底安堵しきった気持ちを抱いた。そして宮内庁という組織に対し、ビシバシ伝わる戦力面の常人離れた頼もしさと異様な不気味さを垣間見た気がした









「───さて、ここが最初に猟奇殺人の遺体を見た第一現場です」


そう言った黒田が立ち止まった場所は、山に入って十分ほど歩いた草が生い茂った獣道の道中。そこには今なお残る夥しい量の血飛沫の跡が草木や地面に染み込んでいる。まるですぐにでも鉄臭い血の匂いが、鼻に届いてきそうなほどに凄惨な光景だ。空気も穢れでドス黒い色をしており、気分が悪く嘔吐感を覚えた麻衣がすぐさま両手で口を覆った


「あ、主さま、大丈夫ですか?」

「謙信…」


麻衣の異変に気づいてすぐに声をかけて来たのは、彼女の隣で警護に着いていた五虎退。彼は心底不安そうに、眦を下げた表情をして麻衣の事を心配していた。それに酷く真っ青な顔で「……大丈夫です、ありがとうございます」と無理して笑う麻衣に、風間が敢えて険しくした顔で咳払いをしつつ厳しい言葉を放つ


「ゴホンッ…。お言葉ですが、正直ここの現場はまだ序の口に過ぎませんよ。他の現場も同様、またはそれ以上の大惨事になっています。このぐらいで臆されては困る」

「ええ、はい…。勿論分かっております風見刑事、早速すいませんでした。何というか、その…私は現場で活動する経験が少ないあまり思わず気分が悪くなってしまいました。ですがーーー」


あまりに鋭く耳が痛くなるような風見の指摘だったが、麻衣にとってそれが自分の未熟な部分であると自覚している。故に一切言い訳したり落ち込む事もなく、しっかり反省した後再び失態を繰り返さない根性があった
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