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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第15章 〜山姥伝説 前編〜



もう一振りは、その国広の本歌とされる刀剣・山姥切長義だ。彼らはその名の通り、山姥を斬ったとされる逸話がある刀とその写しである。運転中の長義は今回の捜査に複雑な思いがあるのか、運転に集中しつつ語り口が不満を宿していた。そして国広の方も不安そうな顔だった

因みに、護符というのは字の如くで加護の力が宿った物だ。これから現地で会う公安警察のメンバー達とは、初対面であるためパッと見すぐに確認が取れる様に長義に提案してもらったのだ。麻衣はこの一件も含めて彼に申し訳なさげな目を向ける


「……貴方には色々苦労をかけています。私のプライベートで、友人達の調査を頼んだばかりだと言うのに」

「ふふっ、主に信頼されて使ってもらえる事は道具の誉だよ。今回タイミングが悪かったってだけさ。……それに───、」


長義に負担をかけたと落ち込んでいる様子の麻衣。すると長義は平気そうで、寧ろ役立つ事ができると嬉しそうに笑顔で語っていた。半透明の桜の花弁───誉桜を薄らと散らして

しかし途中、続く言葉で不自然に発言を途切らせた彼は、見るからに苦渋に歪んだ顔で誉桜も消えており、全員が首を傾げていた。声も普段のハキハキとした調子が無く、車内は微妙な空気に包まれた。そんな何処か意味深ずぎる沈黙の中、長義が言い辛そうに言葉を選びながら口を開いた


「───……それに一応、宮野姉妹の捜査は済んでいる。今のこの任務が終わったら、データを送るつもりだよ」


覚悟しておいた方がいい。最後に不吉な事を言い含めて、長義は目的地に着くまでの数分間を一切喋る事がなかった。一体、旧友達の調査で何が知れたんだろう。麻衣は最悪な予感に胸をざわつかせるばかりである。そして、今から手掛ける公安を含めた任務に対しも、大きな不安と邪悪な気配ばかり感じたのだった───










山沿いにある道路を走行すること数十分。二つ三つ山を越えた先には、決して大きくはない十軒ほどの家が密集している集落があった。四方を山に囲まれており、隣町に行くには車で何十分をかけて山を越えて行くしかない。正に過疎地と言うべき田舎の風景だ

麻衣達一行はこの集落を横切り、再び別の山の側まで行くと駐車場で車を降りた。敷地内には既に三台の白いクラウンが停まっていて、男が二人麻衣達の事を凝視していた
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