第14章 〜探しモノ〜
「そこの店員、実に美味なものを作る手腕があるのだなぁ。暇があれば仲間とまた来るとしよう。会計を頼めるか?」
「あ、はい!」
レジの前で支払いを求める三日月の声に、安室が片付けの手を止めるとすぐに駆けつけ会計の処理を開始する。そして二人はレジを挟んで向かい合って対面し、手早く支払いを終わらせた。最後に安室は営業スマイルを浮かべ、感謝と客を送る出す言葉を口にする
「それでは、お褒めの言葉ありがとうございました!ぜひまたいらして下さい!」
「うむ、馳走になったな」
とても満足している様子で、緩んだ笑みを浮かべながら頷き返す三日月。最早キラキラ輝いて見える麗しすぎる見目に、安室が微かに「うっ」と唸った。目眩を覚えるくらい眩しく見え、思わず圧倒されると反射的に後退する。すると様子見を決めていたコナンが、いよいよ勇気を出して横から話しかけた
「あのね、お兄さん!帰っちゃう前に一つ聞いてもいい?」
「……うん?どうしたのだ?」
突拍子もなく疑問があると言われた三日月は、パチパチ目を瞬いてキョトンとした顔をしつつ首を傾げた。優雅な仕草が実にあざとい
「さっきお兄さんが言ってた『主』って呼び方、凄く珍しいから常連のボクに一人心当たりがあって…。多分麻衣お姉さんの事だよね?清光さんと同じ護衛仲間の人?」
「……ほう。清光達から話を聞いてはいたが、随分と見目に合わぬ賢い頭脳を持った童がいるのだな。それに店員殿も察しがついていると見える」
「「………」」
素直に感心しているらしく、目を丸くして驚く三日月が呟いた。探偵達は否定されなかった事に「やはり」と思いながら、同時に人間離れしている見目麗しい護衛達の顔面偏差値の高さに言葉を失なった。彼らの主人である麻衣もそうだ。人間離れた容姿でこそないものの、誰が見ても清楚で可憐な愛らしい美女であるのは確かで。いっそ同性なのを忘れ見惚れる二人の心中を見抜き、三日月が探偵達に最もな事を告げる
「別に美醜が全てではあるまい。大切なのは表面よりも本質なのだ。例え見目が美しかろうと中身が醜悪ならばそれまで。違うか?」
探偵達は確かにと頷いた
「俺は三条宗近という。まぁ、見ての通りどこに行っても目立つ故に滅多に外には出られんのだ。今日は我慢できずに出かけしまった。主に俺と会った事は秘密で頼むぞ」