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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第14章 〜探しモノ〜





かくして、三日月宗近の行方を知る人物は本丸にいないわけだが。現在、探索されてる渦中の平安刀はといえば、喫茶店で呑気に優雅なひと時を満喫していたのだった。其処は自身の主が何度か通った事のある喫茶店。彼が足を運んだのは、ただ、聞き及んだ店に興味を持った気まぐれに過ぎない。そうしたら偶然、麻衣が接点を持ち始めたという奇妙な少年と出会したのだ


「(……ふむ、思ったよりも縁が固く絡まっておる。色も聞いた話より赤黒さが抜けとるなぁ。これはあの娘に対する印象、思想が良い方向に変わっていった故か)」


執着さえなければ。彼は密かに胸の内で懸念しつつ、目前に置かれた紅茶を綺麗な所作で一口飲んだ。その間もずっと、隣の席ではコナンが緊張しつつも気がかりそうに三日月を何度かチラ見しており、安室もほぼ同様ながらキッチンの片付けの方に意識を集中させている。しかし究極にマイペースな三日月は、二人のそんな挙動を無視した。更にカップのソーサーの隣に置かれた、大皿にあるサムサンドを一切れ食べてみた。と、次の瞬間、瞳に映る三日月模様がくっきり分かるほどに彼の両目がカッと大きく見開かれた


「ぉおお!これは実に美味ではないか!!主に聞き及んだ通り素晴らしい味と食感だ!!」

「「……っ?!」」


突如興奮冷めやらぬ勢いで、サンドイッチに感動してか声を大に絶賛する三日月。傍でいきなり叫ばれたので、二人は思わず肩をビクつかせる。心臓が高鳴り動悸を感じるほどに驚いた


「(び、ビックリしたぁ…。たしかに安室さんの料理は美味しいけど、そんなでっかいリアクションをする人初めて見たからもしれない…)」

「あ、ありがとうございます…」


片や幼い少年の方は呆れを滲ませながら思い、片や探偵も兼ねる店員の方はド派手なリアクションに苦笑いしつつ、褒め言葉へお礼を返す事を忘れない。そして三日月の言葉にあった重要なワードも逃さなかった。あるじ。そんな呼称をされている知り合いは一人の女性しかいない

「ねぇ、お兄さん」試しにコナンが声をかけてみた。ところが、二つ三つとサンドイッチに無心で齧り付き続ける美青年は、コナンの声に一切気づいていなかった。実に美味しそうに食べる彼に、探偵達は確認するタイミングを見失う

結局、真面に三日月と言葉を交わしたのは、食べ終わってすぐに会計すべく立ち上がった時だった
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