第3章 〜全てはここから始まった〜
すると偶々、視線の先でその異変を見たコナンと安室が、再び麻衣達に対して興味を持った。気づかない麻衣はスマホを手に取り、その場で電話に応答する
「……はい。もしもし、お祖母様。………え、今ですか?米花町のポアロという喫茶店ですが………はい?夕方からの話し合い?怪盗からの予告状?」
「「「…!!」」」
すると、訝しげに鸚鵡返しする麻衣の不穏な台詞を聞き、清光達とコナンと安室は瞬時に顔を強張らせた。思わぬ事案が舞い込んだのだ。探偵としては見過ごせまい。
然し、その後の会話は麻衣が電話相手である祖母に何度か相槌を打つだけで終わり、先刻の様に何らかの情報が出て来ることは一切なかった 。
外野に探られてるとは思ってもない麻衣は、今や憂いを帯びた思い悩んだ表情で通話が終わると携帯を鞄にしまう
「───…で、先代からの電話の詳細は?」
頃合いを見ていた国永が、ふと真剣な顔で声を低めると護衛を代表して短く問うた。話の流れから、『先代』というのは麻衣の祖母の事だと分かる。コナン達の好奇の目がギラリと強く輝いた
「……先刻、うっかり口にした通りです。我が家と警察署に宛てた手紙で、妙な予告状が届きました」
「妙な予告状?」
俯いた麻衣が重々しく語ると、言い回しに反応した清光が訝しげに鸚鵡返しした。
「ええ…。公衆の面前なので色々とボカしますが、要するに我が家の家宝を見たさに我々が管轄する神社に現れ参拝すると告げています。無論、この文書を信用するなら相手に盗む気は毛頭無い。過去のやり口から予告状の言葉は信憑性が高い様です…。ですが、警察側は『狙われる品を見せろ』と言って酷く大騒ぎしているようで、身内だけで穏便に済ませたい我々とは意見が対立しています」
「なるほど…。それでゆうがたになったらはなしあいをするのですね!」
「はい。ですから、今日のショッピングモールはしばらく延期に───」
「そんなのダメだよ、お姉さん達!ちゃんと警察に任せなきゃ!」
「「……っ?!」」
不意に、四人がまた声を潜めて神妙な顔で話し合っていると、彼らの側で子供特有の高めの声が聞こえてきた。思わず、ギョッと驚いた四人がビクリと体を震わせる。