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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第14章 〜探しモノ〜



そして自分の性を知っていながらも、幻滅せずに主人と呼んで慈愛を注いでくれる彼らに彼女も感謝しかなかった。そんな中で不意に、執務室の障子の前に刀剣男士の気配を感じるではないか。もしや長谷部が戻ってきたのかなと、麻衣が気を取り直したと同時に障子がそっと開かれた

けれど入室してきた男士は長谷部ではない。所々切れ込みや血痕でボロボロになった着物、首に乱雑に巻かれた包帯が特徴的な刀剣男士、肥前忠広が入ってきた。麻衣は意外な刃物に目を瞬かせる


「……肥前?こんな時間に如何かしましたか?」

「………」


そう言って問いかけるが、すぐには返事を答えてくれない。黙した肥前は遠慮なく執務室に入ってくると、正面に配置された審神者のデスクの前へやってきた。それで二、三人分のスペースを空けてどっかり胡座をかき、鋭い紅蓮の瞳がギロリと麻衣の事を捉えた


「麻衣嬢、アンタは本気でこのまま納得してんのか?」

「……はい?」


何故か開口一番、内容が読めない鋭い質問をされた麻衣。思わず素っ頓狂な声が出るが、それに面倒そうにしつつ肥前が言い直したおかげで話を理解した


「だから、この前公園で会った奇妙な女がいただろ?アンタがうっかり『志保』って呼んじまった相手の事だ。既に先生の言葉で察してんだろーが、ありゃあアンタの昔のダチに間違いねぇよ」

「……っ!」


改めて面と向かって、その真実を聞かされた麻衣はハッと息を呑んだ。しかし決して驚いているわけでなく、やはり思った事は「ああ、やっぱりか」という何処か予想していた言葉だ


「そんで俺や本丸全振りの総意としては、如何にも危なっかしい厄介事を背負った奴と仲良くしてほしくねぇ。まして一緒にいた連中のうち二人は、一度アンタを巻き込みかけたんだろ?そいつと似た在り方をしてる以上、自ら踏み込んで行くのは無謀ってもんだ」

「………」

「けどな、俺らはアンタが望む事なら可能な範囲で対処できる。何故ならアンタが俺らを扱う持ち主だからだ。今更遠慮も何もいらねぇよ。この際まどろっこしい心配は抜きで本音言えや」

「……え?」


思わず肥前の最後の言葉に、呆然と目を丸くした麻衣。自身の立場と重要性を十二分に理解している彼女は、てっきり断固反対されると思って強く辛抱していたのだ
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