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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第14章 〜探しモノ〜





少年探偵団と出会った日から、僅か二日が経ったある日のこと。現世に在るが為に、外界と同じく夜まで降り続いている雨を執務室の開いた窓から見ていた麻衣。側では近侍に就いたへし切長谷部が、束になった書類をこよりで縛って管狐たるこんのすけへと手渡した


「───これが今日の出陣分と遠征分の書類だ。主と念入りにチェックを済ませてる、いつも通り不備はないだろう」

「お疲れ様です、それでは早速政府へ届けてまいりますね!」


言うが早いか、こんのすけは書類を咥えた直後にポフンと煙を立てて姿を消した。彼自身の妖術で政府に移動したのだ。長谷部はそれを暫く無言で見送っていたが、主人たる麻衣に目を向けると安心させる様に笑った


「本日の業務も無事に終了しましたね。今から燭台切の所に行って、睡眠前のハーブティーを持ってきましょう!」

「それなら、今日はカモミールティーでお願いできますか?」


そう言った彼女の指示に、長谷部は執務室を出ると恭しい一礼で「もちろんです」と答え、扉を閉めた後は足早に去っていった。すると漸く力を抜いた麻衣がふぅ、と小さなため息を溢した。次いで疲れた様に机へ肘をつき、目元を親指と人差し指で揉んでは解し始める


「(……今日の戦も、一切の進展がないまま明日へ続いていく)」


麻衣は些細な喧嘩や争い事を嫌う平和主義者である。しかし歴史修正主義者と戦う事は避けられない、審神者の家系に生まれ育った者の使命なのだと幼い頃から覚悟していた。先代である祖母のの元で、本霊に近しい神様達と共に育ち、実家の神社と審神者業を引き継ぐ為に修行した。だから戦争が終わった後の未来に不確かな救いや希望を抱く事、戦争自体が消えやしないかと願う事が苦しく愚かなものだとしても。儚く潰えてしまうと分かっていて、それでも強く想わずにいられない

麻衣はそんな自分が、我ながら審神者に向かぬ哀れな性分なのだと自覚しては、己を嘲笑する日々を過ごして来た。審神者としては終わらぬ時を超えた戦争を嘆き、由緒正しい巫女としては犯罪ばかりな愛すべき自国の行末を憂う。無論、それは今もである


「これは戦争を終わらせる為の戦争。日本の歴史と国民を護り、現在と未来へ繋がる争い、か……」


その目を覆ったままで、彼女は自分に聞かせる様にポツリと呟いた
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