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【刀剣乱舞】波乱万丈、犯罪都市【名探偵コナン】

第13章 〜持てるものこそ与えなくては 後編〜





その後、遺体が発見されてから犯人の逮捕にかかった時間は数時間に及ぶという結果に終わった。罪を認めて手錠を嵌められ、俯いた犯人の『男』がパトカーに乗り込む頃には既に辺りは黄昏時だ。もともと護衛をそばに置いている麻衣は、そのまま長義と別れて帰って行った。女性も一人で帰路を歩いていくつもりの様で、結局子供達だけがパトカーで自宅に帰ることになった

しかし灰原は阿笠と住んでいるし、コナンは沖矢と帰ると言って聞かず、彼らと公園で別れる事になる。四人はそのまま阿笠の黄色い車───ビートルに乗って、コナンの居候先の毛利家へと向かう。すると何故か不自然な沈黙が車内を満たし、運転中の阿笠だけがソワソワと居心地悪そうにしていた


「何だか事件が解決したのに、喜ぶどころか文句ありげじゃない?一体何が不満なのよ?」

「別に不満ってわけじゃねぇって…ただ………」

「ただ?」


コナンは内心複雑な思いが絡み合っているのか、車窓から外を眺め続ける顔はそこにない幻影へ悔しそうに奥歯を噛み締めていた。ずっとそんな調子な彼の背中を呆れた眼差しで見つめ、灰原が言葉の続きを鸚鵡返しで催促させる。その途端にくしゃりと表情を歪めたコナンがポツリと喋った


「……あんな簡単な事件、俺と昴さんはもっと早くに解決してたんだ。それにあくまで勘になるけど、麻衣さん達も犯人が誰か推理できてたんだと思う。ずっと現場やあの男をガン見してたし」

「ええっ?!」

「やはりコナンくんにもそう見えましたか」


余程驚いたらしい阿笠が声を上げ、コナンと灰原が座る後部座席をバックミラー越しに見やる。そして助手席に座っている沖矢は、麻衣達の様子を思い返してコナンに同意を示し頷いた。彼の言う通り、彼女達は現場を見たり犯人だった男を見ては顔を顰めていた。それを聞いて灰原が大きなため息を漏らす


「……それを不満って言わずに何て繕うつもりよ。要は自分の活躍の場が消ちゃって苛ついてるって事じゃない」

「なっ……だからそんなんじゃねぇって言ってんだろ!!」


ギクリ、と一瞬コナンの肩が無意識に大きく揺れた。そして頭にカッと血が昇った彼は、灰原に怒鳴ると再び車窓の方へそっぽを向いてしまう。それで見事に図星を突かれた彼は、拗ねた子供の如く幼稚な態度を取ったのだ。きっと精神的に衝撃を受けただろう
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