第13章 〜持てるものこそ与えなくては 後編〜
次いで耳が痛くなる注意を受けた警察。刑事側の代表として目暮が咄嗟に頭を下げたが、大同時に、子供達が申請書の存在を初めて知ったらしく非常に驚いて声を上げた。コナンまでが真っ青な顔で愕然としており、誤解して過ごして来たのは明白だ。そこで麻衣はきちんと頷いて返し、子供達を鼓舞する言葉をかけた
「はい、探偵というのは特殊な仕事ですからね。国や警察といったところの許可が必要になります。だからどうか、貴方達はその気持ちを忘れないで育って下さい。正義を志して励めば、いつかは大輪の花が咲きましょう」
「う、うん!」
「分かったよ、姉ちゃん!」
「ありがとうございますっ!」
今のですっかり持ち前の元気をとり戻した三人。彼らは麻衣を好んで懐いたらしく、実に嬉しそうな笑顔になって感謝を伝えていた。これには麻衣も微笑んで応えるものの、改めて警察の方を向けば綺麗な所作で頭を下げた
「……何だか偉そうな説教までしてすいませんでした。事情聴取までも途中で止めて申し訳ありません。次のお二方から先に終わらせてください。その頃には長義の電話も終わっているでしょうから後ほど」
「い、いえ、そんな!こちらこそ大変感謝します!」
麻衣は迷惑をかけたと思って謝っているが、刑事達からすると注意しても聞かない子供達を説得してくれた事が嬉しいらしい。普段より少し迅速に動く彼らを横目に、麻衣は続いて肥前に視線を向けた。彼はまるで拗ねた様にそっぽを向いた
「……肥前、貴方が言いたかった事もこれだったんですよね?」
「チッ…、口が悪くて不器用で悪かったな」
「別にそこまで言ってませんよ。たしかに怯えられて誤解されがちですが、貴方の心がとても優しい事は幼い頃から知っています」
優れぬ顔色のまま困ったように苦笑って言った麻衣に対し、肥前は再び舌打ちすると恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めて背を向けてしまった。この後ろではコナンが、#NAME1#の事を物言いたげに見ていた
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その一方で、依頼先とされる政府の所属部署に連絡を取り合う長義はと云うと。一般人の事件に巻き込まれたという事、遺体の状態、警察からの要求を細かく報告していた。すると途中で肥前の苛立った声が聞こえたものの、麻衣が無事に収めたようで安心した