第13章 〜持てるものこそ与えなくては 後編〜
始めは何とか余裕ぶって強がっていたが、麻衣の全てを見通した指摘についぞ言葉が出なくなった。全て彼女に言われた通りなのだ
普段から事件に巻き込まれるので、自然と参考人になったりするが、大人達はコナンを含める子供達の介入を毎度拒絶している。しかし探偵としてのプライドが高いコナン達は、半ば無理やり現場に割り込んで解決していった。いつも最終的にはめでたく締まるが、必ず親や刑事達に怒られ、近所の大人達に心配されて、頻繁に危ない出来事もあった
しかし、だからこそ本気で夢を叶えたい思いもあるのだ。彼らは誰かの役に立ちたい、格好良く悪い人を捕まえたいと願っていた
「……だったら、目の前の悪い人を見逃せって言うんですか?」
「いいえ。夢に向かって直向きに努力をする姿勢は素晴らしい事だと思います。ですが今の貴方達は小学生で、義務教育と呼ばれる子供としての仕事を終えてません。まずは無理した背伸びを控え、地道な努力を積み重ねましょう。学び舎というのは、大切なモノを身につける場です」
「だけど、困ってる人はどんな事でも助けたいです…」
「ならば失せ物探しの様な簡単な事は自分で、少しでも危険な事があるなら大人達に任せるのが良いでしょう。きっと大人達は助けてくれます。それに探偵として役立つ知識は、その期間じゃ吸収できないほどに多く存在しています…。せめて自分の知識を最大限まで高め、自衛する術を身につけてからでも遅くはない筈です。むしろ、それだけ他より欠点が減ると思いませんか?」
だから満を持して、将来のために万全の備えをしておきなさい。そう言って麻衣は子供達を優しく諭し、夢を成就させるための大事な秘訣を教えていった。すると今まで意地になっていた子供達は、嘘のように聞き分けが良くて素直に言葉を受け入れ始める。将来に対して希望と活力を沸かせ、輝く瞳で麻衣を見上げた
これには周囲も黙って聞き惚れるほどの説得力があった。気づけば事情聴取をそっちのけにしており、#NAME1#は刑事達の方を見た
「……今後は警察も現場での威厳を保ってください。探偵というのは公的機関に届け出が必要なのでしょう?相手が子供と言ってもその辺はしっかりけじめをつけなければ」
「う、うむ、仰るとおりです。申し訳ない…」
「「えぇっ、探偵って誰でもなれるんじゃないの?!」」