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【最】共に居る

第2章 光明という少女


「その頃の私はまだ小さくて、お兄さんについてはよく覚えてないんですが、お客さんと同じ髪色をしていたと思います。そして、あの子を光明と呼べば目印になると」
綾の結婚を機に旦那の故郷だったこの町に越し、光明もまたそれに着いてきたとの事。
「あの子、昔家出をしましてね。結局、遠くには行ってなかったんですが、当時は物騒になりだした頃だしで、もう家族もお客さんも総出で探して」
見つかった時には自分達でも見たことないほどに両親が光明を叱ったと話した。
「それからです。ぱったりと言わなくなって、けれども外には出たがっていた様子だったからこっちに連れてきたの」
そこで綾は別のお客に呼ばれ対応に戻っていった。
「・・・ですって」
「・・・・」
「やはり妹さんでは?」
「・・・・」
頑なに頷かない三蔵に呆れたため息をつく八戒。
そこに拍手が響き、次の歌手が入ってくる。
大人びた格好、程よい露出をしたカクテルドレスに身を包み、化粧を施し、昼間とはうって変わって同一人物とも思えぬ見映えの光明がそこにいた。
そして、肩から流れ落ちる長い髪はスポットライトにあたると綺麗な光を放つ銀色。
それを見た三蔵と八戒が愕然としているところに
「だから女は怖ぇーわ」
と悟浄が帰ってきて
「化けすぎだろ」
と楽しそうにする。
三蔵は光明の姿から目を反らし、酒に戻り歌声を聞きながら昔を思い出していた。
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