第6章 これからは
そうしてその晩、三蔵は名に肩を借りながら部屋まで送ってもらい
「他人に触らせるなんて信じらんねぇ。」
「名すげぇ」
と、名だけは平気な様子が一行から見てもやはり身内なんだろうと思わせた。そして、
「ほら三蔵さん、お部屋はこっちですよー」
と言われている三蔵に
「三蔵がっ、フフ」
「介助っつーか、介護っつーかっっ」
「わ、笑っちゃダメですよっ、二人共っ」
と面白がる三人。
やっとベッドに寝かせて名が離れようとすれば一瞬、手が握られる。
「っ」
驚く名、三蔵の体温が伝わってくるが直ぐに離されてしまい、それを見守りつつ
「お休みなさい」
と、戸が閉められた。
そして、よく朝。
「長居し過ぎましたからね」
と早朝に出発する一行。
名が何か色々言いたげな表情で三蔵を見つめたが、
「旅が終わったらまた来てほしいです」
と言えば
「あぁ」
と一言三蔵が返す。名は思わず三蔵に抱きついたが、それも拒まれることはなく
「死ぬんじゃねぇぞ」
と受け入れられ、
「またな」
と一行は去っていった。
名は一行が見えなくなるまで見送った。
三蔵は綾達にも
「世話をかけた。」
とだけ言ったが
「あんなに美女に育てあげてくれた奴への礼があれだけとかないわー」
「名来れなくて残念だったなぁ」
「あれだけお強ければ僕達もパワーアップできたんですがねぇ」
口々にする三人に大人しい三蔵。
「残念でしたね」
と八戒が問えば
「じきにまた会えるだろ」
と三蔵は笑みを浮かべた。
End